episode.56 ページ10
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「わんちゃん、アドニスくん、なんの雑誌読んでるの〜?」
今日は『UNDEAD』の撮影日。前の仕事が押して、少し遅れてやってきた俺が楽屋に入ると、2人は何やら雑誌をみているようだった。
「おー、羽風先輩。Aが出てる雑誌が置いてあったから、アドニスと見てんだよ」
「朔間先輩関連で、スタッフさんがAの雑誌も置いてくれたようだ」
鞄を椅子に置いて、2人の前の椅子に腰を下ろす。朔間A___と名前が書かれていて、『朔間零』の文字はなかった。
「すげぇよな、あいつ。いつの間にか朔間先輩の名前使わなくても仕事貰えるようなってよう」
まだ活動を始めて数ヶ月なのに零くんの名前を使わずに仕事を貰うのは凄いなと素直に感心した。これは、才能なのか、努力と言うべきなのか。でも、努力だけで成り立つ世界ではないし、"あの"『朔間零』の名前を消すぐらいだ。やはり彼女には何かが光っているのだろう。
「でも、意外だった。Aがこの世界に入ることを朔間先輩は許さないと思っていた」
「そ〜だな。自分の後を追いかけて欲しくない、みたいな感じだったし。なのにあっさりOK出すんだもんな。まあ、あの人に憧れる気持ちは分かるけどよぉ」
「Aちゃんが零くんに憧れたからなのかは正直分からないだけど、そうだね。これを見たらだれもが思っちゃうよね〜」
朔間零が帰ってきた__って。正確には、朔間零の後継がやってきたって。
この才能はすぐに発掘されるべきだし、発掘されて良かったとさえ思える。こんな子を埋もれさせるなんてもったいない。彼女はなるべくしてなった『芸術家』。ぶっちゃけもし俺が同い年だったら、嫉妬してしまいそうなぐらいだ。
「今度、あいつになんか甘いもんでも買っていってやるか」
「そうだね!Aちゃん、頑張ってるもんね」
*
「.....遅い、帰ってくるのが。最近、どうしたのじゃ。」
「.....ごめん」
ここ1週間ほど、ほぼ毎日門限を破って帰ってきている。毎日誰かから助けを求められ、それに力を貸していれば、自ずと帰る時間は遅くなっていく。そんなこと、お父さんにわざわざ言わないけれど。学校だけではない、モデルの仕事だってある。私だって疲れているのだ。
「今日は連絡もしなかったじゃろう?お父さん、心配したんじゃぞ...」
「.....うるっさいな」
お父さんの小言を耳に入れず、そう吐き捨てて、自分の部屋に行った。
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玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時