【西谷夕】君のとなり

The neighbor 23 ページ24

Aside



彼を夕と呼ぶようになって、季節は巡った。


……最後の夏の大会では全国へと行けたものの2回戦で負けてしまったけど、

いい経験が出来たと思っている。



その後は、後輩たちへ部を明け渡し、受験勉強をしっかり取り組んだ。





……そして今日、私達は卒業する＿＿＿。


……と言っても卒業式は終えており、後輩が最後のお別れを言いたいということで

体育館へと向かっている途中だ。



制服のポケットにはカーネーションがさされ、卒業生だと実感されられる。

……校舎、校庭、運動場、体育館……今歩いている道にだって

たくさんお世話になって、たくさんの思い出がつまっている。





｢先輩！今までっ……ありがとっ……ざいましたっ！！｣

後輩からの色紙と花束に涙腺を緩ませる私達。


先生からは写真を渡され、涙が溢れた。



私達女子バレー部は、学年関係なく仲が良い事で有名で、

休みの日に皆で動物園などに遊びに行って先生に写真を撮ってもらっていた。


……もう思い出になってしまうんだなぁ……。


卒業式では溢れることがなかった思いが、今になって涙と共に溢れ出す。



この3年間、楽しい事ばかりじゃなかったけど、

この体育館で、

優しくて頼もしい先輩に出会えたこと。

バレーと出会えたこと。


……彼と出会えたこと。




……ありがとう、そして、さよなら。



私達は未来への一歩を歩き出した＿＿＿＿＿。

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