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五度目の雷鳴が落ちると、五体満足に復活した悪魔の巨人が再び地に足をつけた。先より細身であることに気づいているのは恐らく、近くにいたユーリだけだろう。
彼女の巨人化を目にしたのは、少し離れた屋根に立つフロックも例外ではなかった。目の前の、一ヶ月前とは風貌の違う顎と見慣れないはずの金髪の巨人を交互に見やる。彼の眉間はますます歪んでいった。
「ぐっ…、くっそおぉ〜〜！！！」
白目が見えるほどに目を見開き、しゃがれた呻き声を上げながら目の前の顎に突撃する。怒りで脳がはち切れそうだ。
だが、それをハンジが見過ごすことはない。即座に後を追い、白刃を突きつける。フロックの銃を弾くも、重い足蹴りを食らってそのまま突き飛ばされる。
顎と車力が向かうも、やはり雷槍の前では迂闊に近づけない。
完全に振り切ったフロックは手元に残った最後の雷槍を構える。その先にあるのは、海に靡く金髪と不規則に揺れる船体。
巨人に向かって撃てば、雷槍の爆撃は高い体温で威力を増す。あれだけ至近距離なら、船底に穴も空くはずだ。
つまり、この一発に全てを賭ける。
そう決断するや否や、雷槍は火を放ち始める。宙に浮く青い炎に、ハンジたちは一斉に息を呑んだ。
あれが放たれたら、船に穴を空けられたら、全てが水の泡だ。加えて射程には彼女がいる。射程から外れようにも、先ほど片足を落とされ、到底間に合わない。硬質化で弾くことができても、運が悪ければ軌道が逸れて船に直撃だ。
全てが詰み。なす術がない。
「エルディアを救うのは俺だあぁぁーー！！」
だが、彼らは決して、それだけで諦めるようなたまではない。
フロックが雷槍を放つと同時に、ジャンが彼の腹部を正確に狙撃する。乱れた射程は船を逸れるも、彼女から外れるにはまだ足りない。
それなら一か八か雷槍を受けるか。4本の雷槍でもギリギリ無事だったのだ。たったの一本、それもリヴァイが放ったわけではない一本だ。
平気。どうせ治る傷だ。それよりも、誰かがここで死ぬほうが、嫌だ。
彼女は周囲の兵士を振り解き、迫り来る雷槍に両腕を顔の前で交差させた。
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2024年2月19日 8時
