Name of Love ―Final SeasonⅡ-3―《進撃の巨人》 (ページ6)

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船着場。

アズマビトの整備士たちが船にたどり着くまであと数十メートル。巨人の足ならば数歩だが、人の足ではまだ距離がある。整備士を狙って撃ち込まれる雷槍も先よりは少ない。無事彼らが乗船できれば、あとは敵の殲滅に専念するだけ。

アズマビトたちと並走しながら、彼女はイェーガー派を次々と海へ葬っていたが、背後の爆発音が急に大きくなった。彼女は立ち止まり、後ろを振り返る。こちらの作戦がバレたのか、明らかに船を狙っている。鎧と女型が雷槍を受けているが、この調子では出航準備まで持ちそうにない。

彼女はもう一度足元の人間たちを見下ろした。船はもう目と鼻の先なのだ。彼らが戦闘員であればすぐに判断がつくものの、銃も持たぬ彼らを放ることができるほど、彼女も冷徹ではない。

それでも優先すべきは——。

「行ってください。このくらいなら、我々も走れますから」

前身の記憶でも見なかった老女。戦場の人間とは異なる、品の奥に強い何かが見え隠れしている。

ほんの少し彼女が逡巡していると、マガトがぐいと頭上を見上げた。

「早く行け。こっちはもう平気だ。俺が請け負う」

そう言い捨てアズマビトの尻を叩いて行くマガトの後ろ姿に、彼女は今度こそ踵を返した。