Name of Love ―Final SeasonⅡ-3―《進撃の巨人》 (ページ2)

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人類に唯一残された存亡の道——。

地下倉庫に貼られた大陸地図を、キヨミの短い指先が滑る。

「ここより南、マーレ海岸都市のオディハにアズマビトが所有する格納庫があります。そこでも飛行艇の整備は可能です。すぐさま船で飛行艇を曳航(えいこう)したまま出航し、オディハにて飛行整備を完了する手があります」

「海岸都市。距離によっては…、これから地鳴らしで壊滅する都市じゃ……」

「オディハは地鳴らしより先回りできる距離にありますが、更に半日もつかは賭けになります」

〝賭け〟

不穏かつ、不動の道。調査兵団の、常套手段。

ハンジの脳裏に、もう一人の太い金髪の堅物頭が浮かんだ。

いっつもこれだ。嫌な予感はしたんだ。博打、賭け。調査兵団のお決まりだ。でもそれは、皆が好んでいたわけではない。

昔ルアナが言っていた。私にそれは向かないと。それはエルヴィンの役目だから、私には到底真似できないと。それでも我々は博打を打ち続け、負け続けてきた。

結局、人類にできるのは心臓(いのち)を賭けることだけなのか。

「何にせよ、ここで飛行艇を飛ばすことはできない」

アズマビトの整備士に声を張るマガトを横目にハンジも腹を括る。括るしかなかった。

飛行艇が飛ばなければ、世界諸共滅亡する。

「俺は兵長たちを呼んできます」

「私はミカサに知らせる！」

ハンジはマガトに銃を預け、ジャンと共に階段を駆け上がる。

額にじんわりと汗が滲んだ。