3 ページ4
アルミンが推測したように、その頃地上では侵入者——車力の巨人、
そして空からはマーレ軍が飛行船に乗ってこの島へ降り立とうとしており、エレンが巨人化することは、避けられない事態となっていた。
次々と宙に放たれるパラシュート一つ一つに、銃装備に身を包んだ戦士がいる。車力と顎が姿を現し、そして立て続けに鎧の巨人が空から降ってくる。これを全てエレンが食い止めるなど、いくら始祖の力を持つ巨人だとしても無理だ。しかもまだ、それを発動させる条件が揃っていない。
激しい地揺れと轟音の中、イェレナは必死で声を張り上げた。
「エレン！！聞こえますか！」
巨人化したエレンが遥か下のイェレナを見下ろす。
「巨人の体から出てきてください！室内に身を隠し、戦鎚の力で地下から逃げるのです。このまま戦っても分が悪い！！」
これが最善で正しいはずだった。エレンも首を縦に振るはずだった。だが彼は、イェレナの言葉に頷くことはなかった。すぐに目を外し、そのままイェレナを跨いで行ってしまった。
「エレンっ！」
イェレナは思わず2、3歩追いかけるも、当然人の足では後を追えず、屋上から地上へ降りてしまったエレンの大きな背中を漠然と見つめることしかできなかった。
なぜだ。なぜ——。ここでまともにマーレを相手にしては、エレンが殺される。いや、殺されるならまだいい。彼らはそんな生ぬるいことを許すような連中ではない。
『エレン！…一つ聞いても？』
『……なんだ』
『っ……。ルアナ・クライストが王家の血を引いているというのは、真実ですか…？』
『……………』
『ジークの秘策が何の意味も持たないと、あなたは知って——！』
『なんの話だ。今更、ただの足掻きだろ。あいつらはそういう人種だ。うんざりする』
それならなぜ、否定しないのです？エレン。
一歩ずつ、戦士の大群へ歩みを進めるエレンの背中を眺めながら、イェレナは心の中で問うた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 708人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎさ(プロフ) - 何回も見返すほど大好きです！！更新楽しみにしてます！ (11月21日 13時) (
レス) @page33 id: 548ee16a42 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - こちらのシリーズとっても大好きでいつも更新を楽しみにしてます‼︎完結まで頑張ってください、完結まで応援させてください‼︎ (11月5日 16時) (レス) id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
ああ - このシリーズ大好きですっ (10月11日 23時) (レス) @page11 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - ずっと応援します‼︎大好きです！ (10月10日 15時) (レス) @page11 id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - このシリーズマジで面白くて大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月9日 21時) (レス) @page1 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月2日 9時
