27 ページ28
「敵に気づかれたら即走りますから。しっかり捕まっててください」
「う、うん」
ルアナはベンの首に回した腕をきゅっと締めた。
地下の階段を上がり地上に出ると、その先の光景はまさに火の海だった。
砲撃音や衝撃音は地下と比べ物にならないほど大きく、時折大きく揺れる地面に巨人の存在が複数窺える。窓の隙間からでも銃を持った敵兵が多く屋根に潜んでいるのが見え、またその銃に撃たれて落ちていくこちらの兵士も多く見えた。これでは立体機動を使えばすぐに標的にされる。何より銃相手に空中戦で挑むのは無謀だ。
「ベン、」
「大丈夫です。ひとまず死角まで移動しましょう。本部付近は囲まれていますが、壁際はマーレ兵も多くない。そこまで行ったら立体機動で壁を登ります。まずはシガンシナ区から出ることを目的にしましょう」
「うん。」
まずは本部を出ないことには立体機動も使えない。イェーガー派に見つかるのも危険なので迂闊には動けない。状況は絶望的だが、ルアナは不思議と不安を感じていなかった。
かつて片腕でぶん投げた部下は、今や自分を軽々と背負っている。誰かの背中を見るのは随分と久しぶりだ。
頼もしい。ただその一言に尽きる。
今だけは、とルアナは全てを彼に委ねた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 708人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎさ(プロフ) - 何回も見返すほど大好きです！！更新楽しみにしてます！ (11月21日 13時) (
レス) @page33 id: 548ee16a42 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - こちらのシリーズとっても大好きでいつも更新を楽しみにしてます‼︎完結まで頑張ってください、完結まで応援させてください‼︎ (11月5日 16時) (レス) id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
ああ - このシリーズ大好きですっ (10月11日 23時) (レス) @page11 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - ずっと応援します‼︎大好きです！ (10月10日 15時) (レス) @page11 id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - このシリーズマジで面白くて大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月9日 21時) (レス) @page1 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月2日 9時
