21 -Older Brother and Younger Brother- ページ22
断続的に揺れる天井。それは地下にいても揺れを感じるほど大きい。そして微かに轟音に混じって発砲音も聞こえる。この頭上では今、文字通り戦争が始まっている。
彼らの背中を見送って、どのくらい経っただろうか。たった数分前のようにも思えるし、数時間経ったような気もする。その間にしたことと言えば、息をすることくらいだ。
ルアナはただ呆然と、部下の背中が消えていった階段を眺めていた。無意識に右手を左指に添えながら、ただ呆然と。
また、大きく天井が揺れた。まるで壁の上から巨人が降ってきたかのような地揺れ。
一体、外ではどうなっている。分かったところで何もできないが。この身体では、そして彼がいなくなってしまったこの世界ではもう。
「………戦えない。」
彼女の呟きがしんと地下に響いた。
あぁ、どうして。泣きたい。泣いて、全部投げ出したい。だって、私は夢をもう、失ってしまった。泣かせて。お願いだから、泣かせてほしい。彼のために、泣きたいんだ。
しかし、彼女の目は乾いたまま。涙が出る気配もない。そのことに、ルアナは半ば絶望したように天井を仰いだ。
あぁでもそっか。私は、一人では泣けないんだ。泣き方を知らないから。いつだって、誰かがいなきゃ泣けなかった。私は一人じゃ何も、できない。ただ、悪魔になることしか、できない。
灰色の天井が、彼の小さな瞳の色と似ていて、最後に顔を合わせたのはいつだっけ、とぼんやり記憶を辿った。
思い出すのに、少し時間がかかった。最後に会ったのは、もう一ヶ月も前だ。お守りだと笑って額に口付けし、そっと抱き合った。あれが、彼女が彼と会った最後だった。
あぁでも、せめて。せめて最期くらいは、一緒にいたかった。あれが、一ヶ月前のあれが最期だなんて、どうしてそんなことになる。もう、立ち上がれない。立ち上がる足もないけれど、でももう戦えない。
ねぇ、どこに行ったら会える。どこへ行ってしまったの。ずっとそばにいて欲しかった。約束だって、したじゃない。
『私より先に死なないでね』
『それを俺に言うのはお前くらいだな』
そうやって、笑ったじゃない。
『お前の知らねぇところで俺は死なねぇ』
なのにどうして、どうして……。
「置いて、行くの………っ」
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なぎさ(プロフ) - 何回も見返すほど大好きです！！更新楽しみにしてます！ (11月21日 13時) (
レス) @page33 id: 548ee16a42 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - こちらのシリーズとっても大好きでいつも更新を楽しみにしてます‼︎完結まで頑張ってください、完結まで応援させてください‼︎ (11月5日 16時) (レス) id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
ああ - このシリーズ大好きですっ (10月11日 23時) (レス) @page11 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - ずっと応援します‼︎大好きです！ (10月10日 15時) (レス) @page11 id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - このシリーズマジで面白くて大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月9日 21時) (レス) @page1 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月2日 9時
