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巨人の咆声、発砲音、爆発音、至る所に転がる死体、充満していく血の匂い、微かに揺れる大地。
この光景は嫌と言うほど見た。命を賭して人を殺すなんて馬鹿げていると思っていた。なぜ必死になるのか理解できなかった。はず、なのに——。
「…………」
見慣れた銃弾に翼の紋章をつけた人間が撃ち落とされていく。彼女の瞳の中で彼と重なった。ここから見える人たちは一様に彼より大きい。
何だか、嫌だ。無性に、腹が……。
「…私、…怒って……」
腹が煮えているのが嫌でも分かった。
まるで彼女の腹の中を代弁するかのように、太く重い咆哮が響き渡った。
「っ………」
何のために戦うのか、まだわからない。命をかける意味も、必死に足掻く理由も理解できない。でも、
『……俺は、そいつと誓った。必ず獣のクソ野郎を、殺すと』
許してはならない相手は、見つかった。
「っ、」
彼女は壁から降り立った。北側は敵も島の人間も少ない。おかげで容易に背後を取れる。彼女は深くフードを被り、ブレードを引き抜いた。
「ん"っ！」
「ぐはっ——！」
返り血が頬を濡らした。
「なっ…！おい！敵襲だ！！」
「なにっ！」
一斉に睨みつけられても、ましてや銃口を向けられても、彼女が怯むことはなかった。
「うわっ——！」
「貴様何者——！」
「撃てー！殺せえぇ！！」
ひらりひらりと銃弾を交わし、確実に喉元を捕らえていく。
初めから血まみれの手だ。どれだけ返り血を浴びようと今更だ。
「はぁ……、」
一画に潜んでいたマーレ兵を粗方片づけ終えた頃には、完全に息切れていた。肩が激しく上下するが、止まっている余裕はない。次、と頬を濡らす血糊を手の甲で拭い、顔を上げたその時だった。
「ぁ………」
視界の片隅に映った毛深いそれに心臓が大きく震えた。微かに息を漏らしながら目線をあげる。彼女の目が大きく見開いた。
《ちょっと遅れたが、何とか約束の場所にたどり着いたか》
時が止まったのは彼女だけではなかった。シガンシナ区中の人間が北側の壁の上から目を離せないでいた。
《よく一人で耐えたな、エレン。あとはお兄ちゃんに任せろ。》
獣の巨人が街の中心めがけて腕を振り上げていた。
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ふゆ(プロフ) - めっちゃ引き込まれるお話ですね！！！ほんとに更新が楽しみです！ (12月2日 0時) (
レス) @page38 id: 484893ce06 (このIDを非表示/違反報告)
せい - 最近イッキミしたもので！最高しか言えません！！応援します！ (11月28日 4時) (レス) id: 9598d06351 (このIDを非表示/違反報告)
あい - とってもおもしろくて一つの物語として楽しんでいます。続きのお話が楽しみです！ (11月22日 19時) (レス) @page32 id: fbec67f27a (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらいました。作者様のペースで良いのでこれからのお話も楽しみに待っています！！ (11月22日 17時) (レス) id: c807065baf (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - 更新待ってます！！頑張ってください！！ (11月12日 17時) (レス) id: 2973651174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月1日 8時
