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「うっ………」
彼女は巨人の項の中で白昼夢から目覚めた。視界いっぱいに広がる剥き出しの筋肉とそこに埋まる両腕にはもう慣れた。
軽い頭痛に顔を顰めながら目線を上げると、巨人特有の濁った景色が見えた。
無数の無垢の巨人、捕食される人間、倒壊する建物。一見すると正気を失う前と同じように見えるが、状況は少し変わっている。マーレ兵を食い尽くしたのか、襲われている島の人間が増えている。彼女にはそれがジークの思惑通りに思えてならなかった。
そうとなればやることは一つ。見える範囲で最も巨人が密集している通りを目指した。途中で出くわした巨人は適当に項をもぎ取るなり踏み潰すなりして殺した。
本来の彼女であれば顔見知りもいるだろうが、今の彼女にとっては所詮赤の他人だ。項の中に人間がいようと容赦はない。
そうこうしているうちに目標地点まで辿り着いた彼女は足をとめ、項から顔を出した。冷たい外気と蒸気が入り混じって肌を撫ぜる。彼女は顔を顰め、はたと気づいた。
ジークの思惑通りだと思ったけど、違う。ジークが生み出した巨人はジークが意のままに操る。それなのにここにいる巨人たちは無秩序だ。こんな使い方をする人じゃない。となれば——。
「ジークは巨人を制していない……？」
いや、どちらかといえば制御できないのか。
彼女は目を伏せた。
「……………」
道で記憶を見た時、もしかしたらと思うことがあった。
ジークは言った——『実験成功だ』と、『君はユミルの神から選ばれ召喚された巨人だ』と。私は気づいていた——�牋�魔�瓩禄辰�ら生み出された巨人だと、九つの巨人の下位互換に過ぎないと。
今まで考えることを放棄していたから気づかなかった。�狃辰硫式霧澳広瓩覆蕁△任�ることがあるのではないか、と。
彼女は一つ深呼吸をし、意識を集中させた。ジークのそばに四年も置かれていれば嫌でもわかる。必要なのは、彼らとの繋がり。
「ふぅ…………」
目を閉じ、耳を研ぎ澄ませる。道で聞いた太く低い声が頭の片隅で聞こえた気がした。
「っ…………」
彼女はゆっくりと目をあけ、小さく息を吸った。
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ふゆ(プロフ) - めっちゃ引き込まれるお話ですね！！！ほんとに更新が楽しみです！ (12月2日 0時) (
レス) @page38 id: 484893ce06 (このIDを非表示/違反報告)
せい - 最近イッキミしたもので！最高しか言えません！！応援します！ (11月28日 4時) (レス) id: 9598d06351 (このIDを非表示/違反報告)
あい - とってもおもしろくて一つの物語として楽しんでいます。続きのお話が楽しみです！ (11月22日 19時) (レス) @page32 id: fbec67f27a (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらいました。作者様のペースで良いのでこれからのお話も楽しみに待っています！！ (11月22日 17時) (レス) id: c807065baf (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - 更新待ってます！！頑張ってください！！ (11月12日 17時) (レス) id: 2973651174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月1日 8時
