16 -The Melting Ice- ページ17
一瞬の出来事だった。気づけば現実世界に戻されていた。
巨人の項を削ごうと空中にいたユーリは、引き戻された瞬間バランスを崩した。すんでのところでアンカーを近くの建物に刺し変えてやり過ごしたが、意識はとっくに巨人から離れていた。
エレンが地鳴らしを発動した。それもこの街だけではなく、世界へ。目的はこの島を守るため。だが……。
「っ………」
ユーリは崩壊した壁に顔を顰めた。
全ての壁を失うということは、逃げ場がなくなることを意味する。つまりエレンは、本当に全世界を滅ぼすつもりなのだ。これ以上パラディ島の人間が不条理に殺されないよう、大事な仲間を傷つけないために。
それでもこれはあまりにも、
「度が、過ぎてるだろ……っ」
ユーリは遠くに見えた部下の姿に、迷うことなく方向を変えた。巨人討伐で引き連れていた兵士たちは既に事切れていた。
「ジャン！！」
「ユーリさん…」
壁から程よく離れた屋根の上に、ジャン、コニー、アルミン、ミカサが集まっていた。
「アルミン、ベンはどうした」
「っ…………」
屋根に足が着くや否や、息つく間もなく問えば、途端にアルミンの顔が歪む。
「壁の、崩壊に巻き込まれて…っ。僕たちは壁の上にいたから辛うじて…、でもベンさんはっ…」
「分かった。…ありがとうアルミン」
声が震えていないか、ユーリは自信が無かった。ベンに壁際の巨人を任せたのは他ならぬ彼自身だ。あの一言で、たった一言で、ここまで連れ添った相棒を死なせた。
『——実際、あの時女型の前に出たのが私だったら、今ここに私はいないだろうね』
全くその通りだ。あの時、壁際に向かったのが俺だったらベンは死ななかった。俺は今、ここにいなかった。
たった一言だ、たったの——……。
「くそ……っ」
ユーリは膝をついた。先代のように、部下の前で気丈に振る舞えるほどの余裕はなかった。
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ふゆ(プロフ) - めっちゃ引き込まれるお話ですね！！！ほんとに更新が楽しみです！ (12月2日 0時) (
レス) @page38 id: 484893ce06 (このIDを非表示/違反報告)
せい - 最近イッキミしたもので！最高しか言えません！！応援します！ (11月28日 4時) (レス) id: 9598d06351 (このIDを非表示/違反報告)
あい - とってもおもしろくて一つの物語として楽しんでいます。続きのお話が楽しみです！ (11月22日 19時) (レス) @page32 id: fbec67f27a (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらいました。作者様のペースで良いのでこれからのお話も楽しみに待っています！！ (11月22日 17時) (レス) id: c807065baf (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - 更新待ってます！！頑張ってください！！ (11月12日 17時) (レス) id: 2973651174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月1日 8時
