Name of Love ―Ⅱ-2― 《進撃の巨人》 (ページ16)

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医務室を出たルアナは、リヴァイが待っているだろう自室ではなく、地下へ足を向けていた。

「次の、副団長か……」

そう遠くないうちに、自分はエルヴィンの後を継いで団長になるのだろう。彼の言ったように、手負いの団長では手が回らなくなるのも、時間の問題だ。

そして最近リヴァイが不機嫌だったのはこのことだろうと容易に推測できた。副団長になる時さえ、あの調子だったのだ――この話はまた後日するとしよう。それが団長となれば尚更だろう。

ルアナは小さく息を吐いた。

地下室にたどり着く。

目的地の前に見張りの憲兵が2人立っているが、ルアナは戸惑うことなく近づき、胸ポケットから1枚の紙切れを取り出した。

「おい、止まれ」

ルアナは彼らの面前にその紙切れをずいと押し付けた。

「調査兵団副団長、ルアナ・クライストだ。ニックとの面会に来た。許可はもらってある」

その紙切れにはピクシスの署名が記された面会許可証だった。憲兵はそれを疑わしいようにじっと見つめ、しばらくしてやっと口を開いた。

「目的はなんだ」

「ニックとはちょっとした友人だ。友を訪ねるのに理由はいらないと思うけど」

きっぱりと言い切るルアナに、それでも不服そうな憲兵だが、やがて渋々といった様子で言い捨てた。

「………30分だ」

「どうも」

ルアナは軽く会釈をし、その重々しい扉に手をかけた。

部屋に入ると、ニックは椅子に腰かけて本を読んでいた。ルアナの顔を見た途端にその顔が思い切り引き攣る。ルアナは人差し指を唇に当て、後ろ手で扉を閉めた。

「会いに来たよー、ニック。どう？住み心地は」

朗らかな口調とは裏腹に、表情は厳しいまま。ルアナは胸ポケットから再び紙切れを取り出し、ニックが座る前の机に置いた。

《自然な会話をしろ》

外にいる憲兵たちが会話に耳を傾けていることに、ルアナが気づかないわけがなかった。ニックは一瞬だけそれに目を落とし、コクコクと首を縦に振った。

「あ、あぁ…。快適だよ」

「そう、それは良かった〜」

ルアナはまた違う紙切れをニックの前に置き、懐から取り出したナイフを彼の首筋に当てた。