Name of Love ―Ⅱ-2― 《進撃の巨人》 (ページ15)

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「もう、いつ誰に何があってもおかしくない。最悪の場合も考えた方がいい」

「最悪の、場合……」

そんなの、考えたくもない、というのが本心だった。

最悪の場合なんて、あっちゃいけない。だが、そうも言ってられない状況にもうなってしまった。

「だが、その候補にリヴァイは無しだ。あいつはそういうのに向かない。まぁ、それは君が1番分かっていると思うが」

「うん。分かってる」

「ルアナ、君にはいつも負担ばかりかけて申し訳ないと思っている。だが、調査兵団には君の力が必要不可欠だ」

エルヴィンにそこまで言わせてしまうルアナ。はたから見たら、羨ましいと思われるかもしれない。実際、そう思っている兵士は多いだろう。

しかし、本人の肩にかかる重圧は計り知れない。それでもその期待にしっかり応える力があるからこそ、彼女はその若さで今、副団長――そして次期団長という立場にいるのだ。

「うん、私は大丈夫」

「悪いな」

「ふふ、謝らないでよ。らしくない」

「これでも心から申し訳ないと――」

「分かったから」

ルアナはすっと立ち上がり、そのまま扉へと足を進めた。医務室を出る前に、ルアナはエルヴィンを振り返った。

「ちゃんと分かってるよ、お父さん(・・・・)」

そう言ってエルヴィンに微笑み、ルアナは医務室を出ていった。

その足音が遠のくのを聞きながら、エルヴィンは小さくフッと笑みを浮かべ、窓の外に目を向けた。

「泣き虫だった娘が、頼もしくなったものだな」