Name of Love ―悪魔の子編Ⅰ-2―《進撃の巨人》 (ページ48)

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新しく入ってきた兵士たちは、彼女を畏れる者が大半だ。

司令としての彼女は確かにそうかもしれない。史上最年少という肩書きながら他の幹部たちに引けを取らず、世界と繋がったことで壁内人類の命運を託された、島の最重要人物。

副団長だった四年前でさえ雲の上の存在だったのに、今の彼女はさらにその上をいっている。彼女が味方で良かったと、どれだけの人間が本気で思ったことだろうか。

それでも彼女と共に戦った者なら分かる。彼女の言葉の重みも、彼女が背負う覚悟も、彼女が世間で言う〝悪魔〟ではないことも。この場にいる全員が分かっている。

みな、一度は彼女に救われ、そして背中を押された者たちだ。今更彼女を責めるなど、なぜできようか。

「ルアナさん、」

再度アルミンがルアナに声をかける。

「何があろうと、僕たちは無条件にあなたを信じます。ここまで僕らに道を作ってくれたのはルアナさんだ。そしてハンジさんは僕たちを導いてくれた。兵長には何度も生かしてもらったし、ユーリさんはいつでも支えてくれた。僕はもうとっくにあなたたちについていく覚悟はできてます。…だから、もう謝らないでください」

「そうですよ、ルアナさん。あのクソ野郎のせいなんですから。何か意図があったにしろ、ミカサもルアナさんも傷つけるようなこと言ったあいつが悪いんすよ。だから早いとこあいつとっ捕まえて文句の一つや二つ言ってやりましょう」

アルミンに続いてジャンが一歩足を踏み出してそう言い、ミカサもコニーも、ユーリとベンもそれに頷く。

すっかり根負けしてしまったルアナは、降参と眉を八の字にして笑った。

「ありがとう。…ありがとう」

そう言って自然と表情筋が弛むような微笑みを向けたルアナ。その曇りない表情に、アルミンは思い出したように思った。

あぁそうだ、そうだった。この人はやっぱり、どこまで行っても『戦場の女神』だ。安心するんだ。この人がこうやって笑うだけで。

久しぶりに見た彼女の自然な笑顔は、塞ぎ込んでいた皆の心にぽっと暖かな火を灯した。