Name of Love ―悪魔の子編Ⅰ-2―《進撃の巨人》 (ページ25)

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「会えてよかった」

フロックは思ってもないような口調でそう言うと、ハンジたちに一歩近寄った。

「ハンジさん。あなたはジークの居場所を知っているはずです。そこまで道案内をしてもらいます」

「いや、我々は君たちと争うつもりはないんだが。」

「その申し出は断りました」

フロックは涼しい顔で言い放った。

「我々は兵団と交渉しない。」

「っ、…」

ハンジは神経を張り詰めた。

「それは、なんでかな」

「エレンの判断です。ピクシス最高司令は、我々に島の命運を委ねるような賭けはしない。我々を道案内する道中でエレンから始祖を奪う算段を立てるのに今頃大忙しでしょう」

こういう時、相手に一切の隙を見せてはならない。

ハンジはいつも横にいた相棒の振る舞いを思い出し、フロックから目を離すまいと見つめ返した。

「妄想が過ぎるよ。それとも、駐屯兵団内にいるお仲間がそう告げ口してきたのかな？君は忘れているのかもしれないが、兵団の指揮系統には当然ルアナが含まれている。彼女が——」

「そのルアナ・クライストも、兵団が始祖奪還を企てていることを知らされていなかった。」

「っ！」

「そんな肩書きだけの司令は、会議室から追い出されている頃でしょう」

「ぐっ…！」

ハンジは奥歯を噛み締めた。