20 ページ21
「…ごめん」と小さな彼女の謝罪に、「お前は謝るなアホ」とその金糸の髪を撫でる。
食事の時から気を遣われてるような感じと、何か思い詰めてるのだろうなという様子で、いざルアナに問いただしてみれば、ハンジのお節介な一言があったらしい。
まぁ大方素直になれないこいつを思ってのことなのだろうが、もっと言い方ってもんがあるだろうが。
リヴァイは彼女の髪を梳きながら、明日あのクソ野郎に一発蹴りを入れてやろうともう片方の手で自身の髪をかき上げた。
だがハンジのお節介も決してありがた迷惑というわけでもないのが癪だ。
実際足を失ってからのルアナは、司令官という重責も相まって、こうして時折思い詰めすぎることがある。人に頼ることをほとんど知らないままここまで来てしまったため、今の状況は彼女にとってとても耐え難いのだ。
それはリヴァイも理解しているつもりだ。そもそも今までのルアナは、こちらが助ける隙もなく何でもそつなくこなしてしまうため、こちらとしても助けようがなかった。
しかし両足を失い、必然的に助けが必要な身体になってしまい、恐らく彼女はその助けの受け入れ方が分からないのだろう。
ルアナもただの人間だ。一見すると今までと変わらない強さが内に秘めているように思えても、実際は抱えきれない苦悩と戦っているのだ。彼女だって弱ることはある。
こういう時のために、俺たちは一緒にいるんだろうが。
リヴァイは彼女の頭を撫でながら口を開いた。
「なぁ、ルアナ」
腕の中でルアナがもぞもぞと動く。背中に回した腕は解かずに彼女を見下ろした。
「前から思ってたんだが、……いい加減、一緒に暮らさねぇか」
「ぇ、？」
「こんな仕事だから家を買うのは無理だが、同じ場所に帰れるならお前も楽だろ。身体のこともあるから、部屋はお前が行き来しやすいところでいい。仕事終わりにちゃんと過ごせるようにしよう」
「で、でも……」
「形式上は結婚してんだ。それに身体は資本だからな。どこにも問題はねぇだろ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 382人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ああ - 今まで読んだ中で一位になるくらい面白かったです！ (9月9日 9時) (
レス) id: d425432768 (このIDを非表示/違反報告)
Kawamata0912(プロフ) - めっちゃ愛してます この作品を。ありがとうございます。 (5月6日 22時) (レス) id: ddf77202c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年5月6日 11時
