1 -Volunteers- ページ2
炎の水、氷の大地、砂の雪原。商人が一生かけても取り尽くせないほどの、巨大な塩の湖。
壁の向こうには海があって、海の向こうには自由がある。
そう、自由が——。
『なぁ…。向こうにいる敵、全部殺せば、………俺たち、自由になれるのか？』
敵の正体は、人であり、文明であり、——世界だった。
『立ち位置が変われば、正義は牙を剥く』
自由を求め、奪い、奪われる。
そもそも何をもって、自由、なんだろうか。
同じ星に生まれ、同じ時代を生き、同じ言語を話す。なぜ私たちはダメで、君たちはいいのだろう。一体そこに、どんな違いがあると言うのだろう。
違いと言えば、そこに壁があったこと、くらいだろうか。
『人は戦うことを辞めた時、初めて敗北する』
一体、いつまで続くのだろう。
『戦い続ける限り、お前はまだ負けてない。』
いつになったら、この地獄は終わってくれるのだろうか——。
『みんな何かに酔っ払ってねぇと、やってられなかったんだな…。みんな、何かの奴 隷だった…』
そもそも私たちは、一体何と戦っているのだろう。
「……——さん、ルアナさん、」
「ん…………」
そっと瞼を開くと、忙しなく動き回る人の音が耳に入ってくる。みな、彼女の配下の兵士たちだ。
「どこか具合の優れないところでも……」
「ううん、平気。少し考えごとをしてただけだから」
そう答えたのは、ルアナ・クライスト。彼女はこの島の南側領土を統括し、壁内人類の最重要区防衛の全権を託されている最高責任者だ。
その副官——ベン・ヴァイスマンがほっとしたように胸を撫で下ろしたところに、自由の翼を背中に背負った兵士が彼女の元に駆け寄り、拳を心臓に当てた。
「失礼します！ルアナ司令、ハンジ団長がマーレ兵の捕縛に成功しました！」
「ん、わかった。伝令ありがとう。すぐに向かうと伝えてちょうだい」
「はっ！」
伝令の調査兵の背中が見えなくなると、彼女は短く息を吐いた。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい」
ベンが彼女の後ろにまわり、ゆっくりと車椅子を押す。
ルアナはそっと膝に触れ、そして表情を固く引き締めた。
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ああ - 今まで読んだ中で一位になるくらい面白かったです！ (9月9日 9時) (
レス) id: d425432768 (このIDを非表示/違反報告)
Kawamata0912(プロフ) - めっちゃ愛してます この作品を。ありがとうございます。 (5月6日 22時) (レス) id: ddf77202c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年5月6日 11時
