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「よかったな〜沢村〜Aがたまたま食堂来てくれて」
「去年吐いたやつ自分のは自分で処理してそれでまた吐いてたからな、運だけはいいな」
「…他人事だと、思って…」
「いや、他人事だし」
「まぁ、女子にゲロ処理させちまってドンマイってことで」
心配というスキルをバットで遥か彼方に飛ばしてなくしてしまったのかと思う程に、倉持と御幸という先輩は辛辣で嫌味なヤローだった
自分で処理しなくてすむ喜びと自己紹介すらしてない名も知らぬ女子生徒に処理をさせてしまった事の申し訳なさと羞恥で穴があったら入りたい気分だった
タオルを少しどけて辺りを見回せば何人かはこちらに背を向けて食事を再開しており窓を開けているからかそういった匂いは全然感じられない
「ま、昼はちゃんと食えよ沢村。じゃなきゃ1日もたねぇぞ」
「たべぼののはなじしないでくだざぃぃ」
「日本語しゃべれ」
いつの間に食べ終わったのか空の食器を乗せたトレーを持って倉持と御幸は立ち上がるとそれを持って返却場所に向かっていく
「Aー沢村元気そうだから後は自分の仕事しろ。なんか用あってここ来たんだろー?」
「!!そうだった!氷持ってってドリンク作らなきゃ」
「そっちの方が大事だわ。後は俺らに任せな」
「…御幸先輩、ちゃんとお世話してあげてくださいね」
「信用ないのな」
「ヒャハハ!」
遠くにそんな声が聞こえて、ああもう来てはくれないのかと無意識に思った
「お水一応置いておくね!がぶ飲みしたらダメだからねー」
「!」
聞こえた声は一瞬で、タオルを取ってそっちを見ても扉に消えていく後ろ髪が少し見えただけだった
「…天使だ!」
ガラスのコップに注がれたお水すら神々しく輝いてみえる
荒野に咲いた一輪の花
ゴミダメに置かれた上カツ丼のようだと思わず言葉が漏れる
「なんだゴミダメに置かれた上カツ丼って、食う気失せるだろ」
「それよりそんな想像してて気持ち悪くならないか?」
「…うっ」
「それ言わんこっちゃない!わしら面倒みんからな!」
呆れた川上と白州の言葉に沢村はぶり返した吐き気に口元を抑える。途端にその後ろにいた前園は川上と白州の背中を押して慌てて食堂を後にしようと駆け出した
いつの間にか倉持と御幸がいなくなってることには気づかず、沢村は1人気持ち悪さを宥めつつ唯一触れられた優しさの余韻に浸っていたのだった
…この間にやらかした先輩方はきちんと片岡監督に謝罪しに行っているのだがそれを知るのはもう少しあとのこと
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みけいぬこ(プロフ) - まうふちさん» コメントありがとうございます!3年生と沢山絡ませて青春していきたいと思います! (9月12日 16時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
まうふち(プロフ) - 夢主ちゃんめっちゃ可愛いですし面白いです!お気に入りさせていただきました!更新楽しみにしてます! (9月10日 5時) (レス) @page14 id: d0a3c1950d (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - あやかさん» あやか様コメントありがとうございます!何度も読んでいただけて嬉しいです!こちらは平穏に青春していきたいと思います(*ˊ˘ˋ*)またぜひ読みに来てくださいませ (6月21日 9時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 初めまして!全ての作品何度も読み返すほどみけいぬこさんの作品が大好きです!大っ好きなダイヤのAの作品が始まっていて、思わずコメントしてしまいました!みけいぬこさんのペースで頑張ってください!気長に待ってます! (6月20日 18時) (レス) @page8 id: cac696b1d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2023年6月10日 3時