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毎日毎日野球ファンの大人達に混じって青道グラウンドをフェンス越しに眺める女子中学生というのは中々に目立つものであった
熱心にただ真っ直ぐにグラウンドを眺めるその眼差しは夏の太陽の陽射しのように熱く、誰かを探していることは誰の目にも明らかだった
ただそれは恋い焦がれる誰かを見つめるというよりは親を探す雛のような眼差しだったのだが
それを恋と誰かが呼ぶのならそうとも言えるので
そうなるとそれを面白可笑しく冷やかす輩も出てくるわけで
『てっちゃん!!』
部活終わりに満面の笑みで迎えられ共に帰路に着く姿を見せつけられれば面白くないと思う輩も少なくなく
啠の代の野球部員達は練習とは別にこの問題をどう対処するかを密かに話し合った
『恋心がねぁなら気にすることねぇだろ!!』
『Aは妹みたいなものだ、考えたこともない』
『哲がそうでも周りはそうは思わないんだって。来るなとは言わないけどここで野球をやり続けたいなら線引きはしなきゃまずいでしょ』
『ウガ』
哲達の代が最上級生になる年までAは青道野球部のグラウンドは立ち入り禁止
啠を待つならフェンス越し
知らないおじさんにはついていかない無闇に話を弾ませない
『哲は素振りして帰るなら河川敷でやりな。Aも待つなら啠から離れないこと。守れないなら来るな』
厳しい言葉の裏にある心配にこの人は良い人なのだとAは理解した
『分かった!亮ちゃんありがとう』
『亮、ちゃん!?』
『何丹波』
『!?い、いや…別に』
『そう、Aもいい度胸だね。俺をちゃん付けするなんて』
『む、俺もちゃん付けだぞ、小湊』
『哲は黙ってて』
昨日の事のように思い出せるのに
それはすでに過去の話
「やっと…お手伝いができる!」
中学を滞りなく卒業し、一般入試で青道高校の合格を勝ち取ったAは、晴れてこの春から青道高校の一年生となる
どんな日々が待っているのだろう
何をしてあげられるだろうか
「目指すはもちろん、甲子園!今年こそ…!絶対に!」
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みけいぬこ(プロフ) - まうふちさん» コメントありがとうございます!3年生と沢山絡ませて青春していきたいと思います! (9月12日 16時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
まうふち(プロフ) - 夢主ちゃんめっちゃ可愛いですし面白いです!お気に入りさせていただきました!更新楽しみにしてます! (9月10日 5時) (レス) @page14 id: d0a3c1950d (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - あやかさん» あやか様コメントありがとうございます!何度も読んでいただけて嬉しいです!こちらは平穏に青春していきたいと思います(*ˊ˘ˋ*)またぜひ読みに来てくださいませ (6月21日 9時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 初めまして!全ての作品何度も読み返すほどみけいぬこさんの作品が大好きです!大っ好きなダイヤのAの作品が始まっていて、思わずコメントしてしまいました!みけいぬこさんのペースで頑張ってください!気長に待ってます! (6月20日 18時) (レス) @page8 id: cac696b1d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2023年6月10日 3時