15 ページ41
「なぁ、A」
「……な、に」
2人の背を追った先には小ぶりなバスが待機していて相澤と共に乗り込み爆豪は1番後ろの席へ早々に座っていて小ぶりとはいえ席数の多いバスでどこに座ればいいかと戸惑っていたら轟が座る場所を示してくれて前から三列目に座った。
轟は同じ3列目の通路を挟んだ窓際に座って、しばらく静かな空間が続いた
たくさん席があるのに同じ列に座るのに少し驚いたけれど爆豪のように離れすぎてるのもそれはそれで心細かったから複雑な心持ちで流れる景色をぼんやり眺めていたら轟が話しかけてきて心臓が一つ大きく鼓動した
人に話しかけられる第一声目はまだまだ緊張してしまううなぁと思いつつ強ばる体は少し恐怖を感じていて、申し訳ない気持ちになる
信じたいのに体が拒絶してしまうことがもどかしい
「お前の個性は、その、合宿で爆豪が話してたので合ってるんだよな？」
嫌なこと思い出させるようで悪いと言葉が続く
そう言えばきちんと説明してなかったな、とか爆豪にはほぼバレてたな、とか朧気だった記憶が蘇ってくる
「その、ヘッドホンはさAの個性を制御してくれてんのか？」
静かな車内に轟の声だけが響く
前に座る相澤が特に何も言ってこないので話しても問題ない事なのだろうとしばらく反応を待っていたAは、轟の目を見て1つ、頷いた
「これは、聞こえる声のボリュームを自動で調節してくれてる…らしい。僕は調整、できなくて全部遮断するか聴くかだから…」
「じゃあ今、俺の声は普通に聞こえてんのか」
「うん、聞こえてる」
「よかった、読唇術？だったか、唇の動き読んで会話理解すんのも疲れるだろ」
「…どうだろ。やらなきゃ動けないくらいうるさくて気持ち悪かったから疲れるとか思ったこと、ない、かな」
「…」
轟はすごいな、とでかかった言葉を飲み込んだ
過酷な環境の中で生きるために身につけたその力を素直に称賛するのは違うかなと思ったらだ
身につける必要のなかった人生だったかもしれない。願わくばこれからのAの人生でその力が誰かを救うために発揮されることを
「これからは普通に話せるんなら、よかった」
「…うん」
頬を赤らめて俯き、小さく頷いてくれるAの姿に轟はふっと口元が緩んで笑みが漏れる
もうあの冷たい瞳を向けられることはないだろう
そうさせないようにちゃんと見ていてやりてぇと思った
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みけいぬこ(プロフ) - ryupu861さん» コメントありがとうございます！続編は書こうと思ってましてようやくとなりました✦ฺまたお来ていただいてありがとうございます！更新頑張っていきますね！ (2023年4月4日 7時) (
レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
ryupu861(プロフ) - 初めまして！何ヶ月か前に読んでいて、続編が出ていてびっくりです！これからも楽しみにしています！ (2023年4月3日 23時) (レス) @page42 id: 951cdc533b (このIDを非表示/違反報告)
縷々(プロフ) - みけいぬこさん» わっ、わっ、レスありがとうございます✨恐れ多いだなんて！！もっと自信を持ってください！！みけいぬこさんの文才には到底敵いませんが、仲良くしていただけると幸です！！ (2023年3月30日 18時) (レス) id: a8b0369670 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - 縷々さん» そして！！小説書かれていたのですね！しかも…私のようななんて…嬉し恥ずかし恐れ多い！でも嬉しいです✧︎共に楽しんでいきましょう！！ (2023年3月30日 12時) (レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - 縷々さん» コメントありがとうございます！そして友人申請気づかず申し訳ありませんっ！普段あまりないので💦仲良くしてくださいませ！深夜に発狂笑考えが纏まらず原作がハラハラ展開すぎてどうしようかと思ってました！普通の人生、波乱気味ですが歩ませていこうと思います！ (2023年3月30日 12時) (レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年3月17日 12時
