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「(どうせこれが終わったら取り壊して更地にするんだ。今やったって同じだろ)」
ここら一帯に帳を下ろしてるから騒音も何も気にする事はない
出力最大だと目的の“A“とやらも消失しかねないのである程度抑え、しかしその場のほぼ全てを巻き込んだ
生まれたばかりの呪霊は蒼の呪力に引き寄せられ押しつぶされるように消失し立ち込める砂煙と瓦礫に暫し何も見えなくなった
無下限呪術でその場に突っ立っていても何もかもを跳ね返すから五条は微動だにせずそこが晴れるのをしばし待った
「あっれー全部消し飛んだはずなのにしぶと、……は?」
砂煙が晴れた先に未だに伸びる蔦が見えて蒼に耐えられる程の呪霊とは思ってなかったので少し感嘆の声を上げた五条だったが、その蔦の先、扉の向こうの景色に目を奪われた
崩れ落ちる恐らく天蓋付きの豪華なベッドだったもの
そこに蠢く無数の蔦は
何かに絡まりその者の動きを封じ込めていた
そこだけは何故か淡く赤く光り
その中心のものを締め付けるわけでもなく
だがしかし離すまいと苦しそうにもがいていた
四肢をその蔦に預け虚空を見つめる赤い瞳
「マジ、か……Aって…」
そこにあったのはどこにでもいそうな子供が一人
五条の耳に金切り声をあげる女の声が聞こえた気がした
“Aを殺して…!“
それはイコール、この子供を殺せと言うこと
「や。メテ……Aヲオオオオ……」
ピシャリと水音と共にさっきの呪霊が蔦を五条に伸ばす
半身は消失、片目も飛び出てこぼれ落ちよく分からない体液を流しながら呪霊は未だにこちらをギラギラと睨みつけていた
その執念はまさに呪い
その執着がある限り、その身体は修復をしていくのだろうと五条は理解した
肌を刺すような強大な呪力の大元は死にかけの呪霊からではなく目の前の子供からだ
そしてその子供の口には呪霊の蔦が押し込まれており、その子の呪力を吸い取ろうとしていた
「!違う……こいつ、呪力を注いでるのか」
五条が目を凝らしその違和感に気づいた
弱り滅ぶ寸前だろう呪霊は己の呪力を子供に与えているのだ
呪力の大元は人間の負の感情からだ
呪力をもたない人間がほとんどだが無意識にその呪力は溢れ出る
呪力に耐性のない人間が無理矢理に呪力を取り込む場合、器や精神が呪力に耐えられず死ぬだろう(稀に耐性をつけ術師に転換する例もあるがそれは極わずかだ)
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時