【ヒロアカ】Vergiss-mein-nicht Ⅸ (ページ9)

今日:3 hit、昨日:18 hit、合計:19,704 hit

8 ページ9

癇癪を起こした子供のように騒ぎ立てる峰田を少し怖いと感じるAは無意識に轟の背に隠れる
喚き散らす声に驚きと僅かな恐怖が勝り言葉の意味が上手く頭に入ってこない

「焦凍…」

「Aは聞かなくていい。耳が腐るから耳塞いで少し隠れてろ」

そう言われてしまえば隠れた背中がとても大きなものに見えて反射で耳を手で覆いその安心出来る背に寄り添う。何度か峰田には会ったことはあるけどそのどれもがどこか奇異な行動を伴っていて少し苦手だな、と感じる

「俺は健全な男子高校生なんだよ！！目の前で事後の感想聞かされたら羨ましくも思っちまうだろ！なんだよ！？普段猥談参加しねぇ坊ちゃんのくせに、よお……？！！」

＿ブワッ

峰田が地団駄を踏み心の叫びをいい切る前に凍える一風が峰田を包み一瞬で垂れ流した鼻水涙も氷柱に成り下がる

「…Aに変な事聞かせるなって前にも言ったよな」

地を這うような声と共にふぅっと轟の周りを冷気が舞う

伸ばされた腕は峰田に向いており、氷像と化した峰田は轟の個性によってそうなったのは一目瞭然だった

「え、何？何があったの…？」

峰田の雄叫びからしか聞いてなかった芦戸の困惑した声が静かになった空間にぽつりと響く

「…お、俺は巻き込まれただけで……峰田みたいな事はなんも、思ってねぇからな、轟」

「…」

両手を控えめに上にあげて降参のポーズを取る上鳴は自分が何故死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされてるような気持ちを味わわされてるのか理解はなんとなくできてても納得はしてなかった

ただ、暴走した峰田を止めようと声をかけたら巻き込まれただけ

轟達の話は耳に届いてはいた(聞いてはいけないものを聞いてる感はあった)が知らぬふりをしていたのだ

「(轟目が怖ぇって！初期ろきくんになってるってええ！！？)」

どこまでも冷たい心臓を射抜かれそうなその視線が心に痛みを与えてきて上鳴は内心大洪水の如く泣き叫びたくて仕方なかった

その翳してる轟の右手の餌食に己もなってしまうのかと死を覚悟した

「まぁまぁまぁ轟落ち着けって、上鳴は賛同も同調もしてねぇよ？これホント」

「せ、瀬呂ぉ…！」

上鳴と轟の間に立ち上鳴を背に庇ってくれたのは事の全容を傍観していた救世主瀬呂
上鳴の目には神々しい後光が差して見えたそうな

．