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轟々と炎が森を焼く
「あ…あっ……あぁあぁぁあ！！！」
その中で緑谷の苦悶の叫びが木霊する
熱い……
寒い……
ここは、……
Aは暗い暗いどこまでも続く闇の中で一人そんなことを思った
自分の手すら見えない、目を開けてるのかも分からない空間で立っているのか寝ているのかすら分からない
ぼんやりとする思考
思考すらできない今
思うことはなぜ、ここにいるのだろうということだった
＿＿逃げろといったのに、今のお前にあの男の焔は耐えられない
あの男とは誰だっただろう
逃げろとは、どこへ……、なんで……？
＿＿我が主をみすみす死なせはしない
止めることが無理ならば、私は主のそばにおりましょう
主
そう話すこの声は一体誰なのだろう
主とは誰のことなのだろう
＿＿これは守るための力、主を守りたいと願った名も無き獣の想いの具現化、それが私達の個性のはじまり
その想いは脈々と主らの血の中で受け継がれてきた
想いの、具現化……？
＿＿主の命を守るのが私の天命、ここで死なせはしない
冷たいのにあたたかいものに包まれている感覚
それがとても優しくて安心できるものだと感じて
朧だった意識が遠のいていく
「(…っを、…早く、病院へ…)」
その言葉は音になることはなく
そのまま安寧の闇に溶けて消えたのだった
＿＿…
森が燃える
肝試し中に起こったことにより森の中にちりじりになってしまった生徒達をイレイザーヘッドは必死に駆け回り救助にあたる
出会った生徒たちの証言で森は毒霧に侵されていたようで倒れ意識のない者や吸ってしまい具合の悪そうな者が多くその救助は難航した
遅れてやってきた救急隊に次々と応急処置をされ運ばれていく生徒を横目に全員いるかを確認していく
「…緑谷に轟、爆豪…障子と常闇、後は蛙水と麗日がいないな…」
思いのほか多い数と聞き及んでいた狙われているという爆豪の安否が気になりざわりと嫌な予感が脳裏をよぎる
無闇矢鱈に駆け出しても時間の無駄になってしまうと冷静になりきれない自分に苛立ち舌打ちが漏れる
「ブラド先生…ブラド先生……っ！」
そこに、同僚の名を叫ぶ声が聞こえ意識をそちらに向ける
聞き馴染みはないがそれはB組の拳藤のものだとすぐに気がついた
施設に避難してる生徒もいるためブラドにはそこに待機してもらっている
代わりにと拳藤に駆け寄った
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年2月2日 14時
