報告書No.47 ページ9
☆
「手前はッ!…ッ自己犠牲が過ぎンだよ!!」
「もしかしたら、死ンじまうかもしれねェのに!!何でそんな、自分からッ!!」
自己犠牲が過ぎる?
私の何処が?
『…済まない、だがヨコハマの為なんだ。財団に居るからには自分よりも多くの人命の方が大切だ。それに私の考える中ではアレが最も効果的なんだ』
私は啄木に謝罪しつつも、説明した。
自己犠牲も何も、財団では世界の安寧の為ならば何でもする。だから私の体など、どうでも良いのだ。
『それに私はアレでは死なない。それくらい考えている』
そう、別に死ぬ訳じゃない。
死ぬと分かっているのなら、他の案を利用する。
私は死なないと確信していたのだ。
話をしたら、啄木はワナワナと震え出した。
そして次の瞬間。
「ッ!!ふッッざけんな!!!」
啄木に頭突きをされた。
『痛ッ』
彼の頭突きは酷く痛い。
痛みを堪えていると、彼はまた叫び出した。
「手前、やッぱ何にも分かッてねェじゃねェか!!」
先程で落ち着いたと思っていたが、今度は涙を流し乍、叫んだ。
「俺が言ッてんのはそういう事じゃねェ!!…ッくそ!」
なら何なんだ。死にに行くような事が駄目なのか。
「俺は手前ほど頭は回らねェ!!ッだから死ぬか死なねェかだなんて分からねェんだよ!!でもよッ、手前だッて人間なんだッ!!もしかしたら死ぬかもしれねェ!!予想が外れてちまうかもしれねェ!!」
「俺らは手前に死ンで欲しくねェんだ!!生きてほしいンだ!!怪我して欲しくねェんだ!!」
「手前は自分の事は心底どうでもいいのかもしれねェが、俺らにとっちゃ大切なんだ!!」
「怪我するッてのは、辛ェんだよッ!」
『…』
分からない。
「こンな事は言いたかなかったッ!!だがよ、手前は言わなきゃまた同じコトをする!!だから言わせて貰うッ!!」
分からない、分からないんだ。
啄木の言う事が。
それなのに。
心の奥底が、暖まるのは、
鼻の奥が、つんとするのは、
目頭が、熱く感じるのは、
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (4月5日 18時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
ハデス - 体調に気を付けてください。ゆっくり休んで下さいね。ずっと応援してるんで! (9月21日 21時) (レス) id: 087d3e6d61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨルノ | 作成日時:2023年8月18日 16時