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ーとある村の話ー ページ8

「おーい! うらさーん!」


道を歩いていると、背後から名を呼ばれて。
あいつか、と、足を止めてくるりと振り返る。

そこに居たのは予想通りの人物。

見慣れた赤髪を揺らしながらこちらに走ってきていた。


「……なんだよ、坂田」

「はー、疲れた。どこ行くん?」


隣に止まり、はぁはぁと息を乱すこいつは坂田。
俺、うらたの昔からの腐れ縁で、幼馴染の男。


「別に、どこにも行かねぇよ。ちょっと散歩してただけ」

「じゃあ俺も一緒にええ? 暇で暇で仕方ないねんなー」


あっという間に息を整え、ぐぐっと伸びをしていた坂田に「勝手にしろ」と返して再び歩き出すと、坂田は慌てて俺の隣を歩く。

たわいのない雑談をしながら、俺と坂田は散歩を続けた。


俺たちの住む村には、名前が無い。

身分制度を重んじるこの華月国には、そんな村なんてざらにある。

……まぁ、この村は少し特殊で、とある「俗称」で呼ばれていたりするけど。

とにかく、平民の集まりであるこの村では、これといって物珍しいこともなく。

俺達は、毎日こうして散歩したり釣りしたりと、自由気ままな生活を送っていた。
坂田が暇だと言うのも、まぁ分からなくはない。


「なんか、王都の山にでっかい屋敷が出来たらしいで」


坂田が興味なさげに投げてきたその話題に、「らしいな」と同じく興味なさげに返す。

王都のことに、大して興味はない。


「時雨山……だったか。あんなでかい城の近くに、なに建設してんだか……」


お偉い様のすることは、よく分からない。

本当に、よく……分からない。


「……『あの子』、元気なんかなぁ」


ぼそり、と零れ落ちたような坂田の呟きに、俺は何も返さなかった。

ちらりと隣ーーの少し上を見上げれば、どこか寂しげに視線を落とす坂田の顔。

それを見ても俺は何も言わず、黙って前を向いて歩き続ける。

目的地なんてない。
ただただ、何も無い村の中を、ゆったりと。

〇→←*



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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2020年7月11日 23時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きがきになる・・・更新頑張ってください! (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい!更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星奈 ふゆ | 作成日時:2019年7月21日 16時

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