＊ ページ45
ぽろぽろと、涙が頬を伝い、顎筋を流れて、緑の絨毯へと落ちていく。
次から次へと、堰を切ったように溢れ出すそれを止める方法なんて、今の私は持ち合わせていなかった。
「っ、ふ、ぅ……う、ぇ……」
「……ごめんな。気付いてたのに、言えなくて」
ぎゅ、とうらたくんに抱きしめられ、その温もりに瞼の熱が増してしまう。
その上から、私たちを覆うように包み込んだ坂田くん。
身体が密着し、目から溢れる涙が彼らの着物に吸い込まれていくけれど、そんなことを気にする余裕なんてなくて。
わぁわぁと、抱き竦められながら泣き叫ぶ。
「っ、言いたかった……！ 言いたかった、のに……謝りたかったのに……っ！ 怖くて、言えなくてっ……」
「……うん」
「ごめん、なさっ……忘れちゃって、思い出せなくて……っ、ごめ、なさい……！」
湧き上がる激情を、唇から飛び出す言葉のままにぶつける。
ーー迷惑だ。
こんなの、ただの迷惑なのに。
二人は、相槌だけを打って、ただただ私の支離滅裂な言葉を聞いてくれる。
……その優しさが身に染みて、酷く痛い。
「ごめんなさい……ごめん、なさい……」
ふるふると肩を震わせ、壊れたように「ごめんなさい」を口にする。
涙が唇に触れてしょっぱい。
潮の味が、罪の意識を加速させていく。
「A」
「っ……」
「そんな怯えんな、大丈夫だから」
ぽん、と優しく頭を撫でられ、身体の震えが微かに収まった。
そろりと顔を上げれば、涙に濡れた視界に緑の瞳が映り込む。
私を確かに捉えたそれは、一瞬きょと、と見開かれ、そしてすぐにーー細められた。
「ははっ、酷い顔！ ……ほら、そんな泣くなよ」
「せやでー、Aは笑顔が似合うんやから！」
うらたくんに親指でぐい、と下瞼を拭われ、小さく「わ」と声が漏れる。
私から手を離したうらたくんも、その隣で微笑む坂田くんにも、怒りの感情が、見えない。
「な、んで……」
「ん？」
「なんで、怒って、ないの……？ 失望してないの……？」
俯き加減に問いかけて、結局視線を芝へと落として。
視界いっぱいに広がる緑は、もう涙に滲んではいない。
それ以上に、彼らに失望されていないことに対する驚きが大きかったのだろう。
……でも。
信じたいのに、怖い。
私が悪いのに、嫌われたくない。
かたかたと震えだす身体が、その感情を表に出す。
だからーー。
「怒ってるわけないやろ！」
ーー坂田くんの言葉に、全てが救われた気がした。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2020年7月11日 23時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 続きがきになる・・・更新頑張ってください！ (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい！更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星奈 ふゆ | 作成日時：2019年7月21日 16時
