捌／星夜の約束 ページ28
暗闇が包む森の中、辺りは深緑一色。
その中に座るのは、私含めた五人。
私以外は、瞼を閉じて身体を休めている。
膝を抱え、
それはもう、目の前で上がる薄い煙のように。
(……また迷惑をかけてしまった)
小さな溜息が、無意識下に漏れる。
お屋敷を出てからというもの、皆に迷惑をかけてばかりだ。
私が至らないばっかりに。
私がもう少し、強ければ。
募りに募る自責の念の
「……はぁ」
今度は、少し大きな溜息が落ちた。
どうしてか、お城で暮らしていた頃と同じかそれ以上の重い気持ちが胸に溜まっているのだ。
(皆に会えたんだから、笑っていたいのに……)
そして、三度目の溜息が落ちーーそうになった時。
「まーだ起きとったんか」
「っ！？」
潜められた声が、直ぐ近くで響く。
咄嗟に身を離すと、隣で人影が揺れる。
月明かりに照らされた「それ」は、夜風に揺られながらそこにあった。
暗がりの中でも存在感を放つ紫紺の瞳が、真っ直ぐに私を射抜いている。
「志麻くん……いつの間に……」
「ついさっき。なんか急に目ぇ覚めた」
私の隣に腰を下ろしながら、軽い口調でそんなことを言う。
さっき私に事実を突き付けた声とは、まるで全くの別人だ。
生温い夜風が、私と志麻くんの間を吹き抜ける。
「……眠れないんだ」
ぽつり。
夜風に誘われたのか、気付けばそう呟いていた。
志麻くんはそれに「ふーん」とだけ返して黙ってしまう。
夜闇に消える沈黙は、決して気まずいものでは無い。
それでも、何故か私は言葉を探していた。
話したいのだろう、彼と。
ーーなのに。
「ごめんね」
自虐的になっていたからだろうか。
(……後ろ向きな話題しか、出てこない)
急に謝罪を口にした私に、隣の志麻くんはぴくっと肩を揺らした。
顔は見ない、見えない、見たくない。
ただただ、焚き火の跡を見つめ続ける。
「私がもっとしっかりしてれば、野宿なんてしなくても済んだかもしれないのに」
残りの三人を起こさないように、志麻くんだけに聞こえる声量で。
でもはっきりと、早口に言い切る。
また、沈黙。
さっきよりも冷たく感じる夜風が頬を撫で、髪を靡かせて夜に溶けていく。
「A」
刹那、響いたのは私の名前。
志麻くんが呼んだのだ、紡いだのだ。
「……少しだけ、散歩。行かへん？」
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2020年7月11日 23時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 続きがきになる・・・更新頑張ってください！ (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい！更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星奈 ふゆ | 作成日時：2019年7月21日 16時
