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歩き始めて、いったいどれくらいの時間が経ったのだろう。
落ちていた視線を
(流石だな……)
苦笑と共に、深く大きな息を吐き出す。
確かな疲労に染まった、少し荒い息を。
ずっと屋内に居た小娘が、存分に山道を歩めるはずがない。
私の身には少しずつ、けれど確実に疲れが溜まってきていた。
それでも、私の我儘でみんなに迷惑をかける訳にはいかない。
ましてや私を救うための逃避行なのに、私が弱音を吐いていい訳がないのだ。
泣き言なんて言ってられない。
大きく息を吸って、目の前にあった木の根を越えようとした、その時。
「……っ、わっ……！？」
ーー倒れる。
そう確信して瞼をきゅっと強く閉じる……が。
訪れると思っていた痛みと衝撃は、いつまで経ってもやってこない。
代わりに何か、仄かな温もりに包まれているのを感じた。
「っあ、ぶな……」
耳元で、少しの焦りと大きな安堵を孕んだ小さな声が響く。
驚いて瞼を開けば、泥で汚れた下駄が視界に入った。
がっしりと身体を支えられているのに気付き、視界を上げると、そこには一息つく志麻くんの姿が。
「あ、ありがとう……」
驚きつつも小声で感謝を伝えると、志麻くんは私の瞳をじっと見つめて何か考えるような素振りを見せた。
体勢はそのまま。
ほぼ全体重が彼にかかっている状態で、申し訳なさが募る。
私が少し身動ぎを始めた頃、志麻くんが私から視線を外し、前を見据えた。
その先には、立ち止まって私たちを待つ三人がいて。
「うらたさん」と、その中の一人に声をかけた志麻くんは、私を安定した場所に下ろしながら言葉を続けた。
「こいつ、そろそろ限界やで」
ーーぴりっと、背中に小さな電流が走った。
着物を整える手がぴたりと止まって、無意識に視線と声が上がる。
「そ、そんなことない！ まだーー」
「嘘つけ」
私の声を遮るように、志麻くんの声が飛んでくる。
その声に色はない。
淡々と、ただただ事実を冷たくぶつけてくるだけの、私にとっては酷な声。
志麻くんの言う通り、申し訳なさを募らせて奮起したは良いものの、やはり私の足は限界を迎えていた。
ぎりっと、やるせなさに唇を噛み締める。
「……今日はここで野宿だな」
うらたくんのその声は、ただただ私に鬱々たる念を募らせるばかり。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2020年7月11日 23時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 続きがきになる・・・更新頑張ってください！ (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい！更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星奈 ふゆ | 作成日時：2019年7月21日 16時
