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バイト先の花屋に戻ってため息を漏らす。
いきなり安室透に遭遇するとは思わなかった。
何もないならそれで良かった。互いに名前を名乗るだけで終わると思ったら「シフト何時までなんですか」と聞かれた。
正直に答えたら「まだその時間は此処やっているので珈琲飲みに来ませんか」と向かうから言ってきた。
返答に困ったが目が怖かったから結局帰りに寄ることになった。
兄が何をしたいのかよく分からない。関わらない方が良いんじゃないのか。
首を傾げながら店番をする。生憎今日は客足が少なく考える時間は山ほどある。
結論は安室透になっても妹への愛が止まらない、ということになった。やっぱり病気だな。
私服に着替えバイトを上がる。足取りが重いが行くと行ってしまったから行くしかない。
徒歩3分ほどの距離がいつもより短く感じる。店の前に着くまでに何回ため息をついただろうか。
カランとベルを鳴らして本日2回目のポアロに入る。「いらっしゃいませ」と声をかけたのは安室透。
カウンターに勧められたのでそこに座る。他の客は疎らで今はそこまで忙しくないらしい。
「珈琲を一つお願いします」と声をかける。にっこり笑って「分かりました」と言われた。
そっちは楽しいのかもだけど、此方としては気まずい。早く帰りたい。
持ってきたバッグから本を取り出し栞を挟んだ所から再度読み始める。出来るだけ早く飲んで帰ろう。
そう思っていたら、カランとベルが鳴った。音のした方に目を向けると眼鏡をかけた小学生ぐらいの少年が立っていた。
嘘だろ。死神が入店してきた。事件に巻き込まれる前に帰りたい。
運ばれてきた珈琲を飲んでいると隣にその少年が座った。何故隣なんだ。他に席空いてるじゃん。
気にしたら負けなのだろうか、気付かないフリをしながら活字に目を向けるが視線が痛い。
主に隣の小学生からの。何ですか、怪しい動きなんて一つもしてないぞ。
「ねー、お姉さん」と予想外に早く声をかけてきた。無視は出来ないよな、逆に怪しまれる。
どうしたの、と答えたら「お姉さんと店員さんって似てるけど兄妹なの?」と確信をつく質問をしてきた。
だから来たくなかったんだよ。絶対この死神、江戸川コナンに会うと思ったから。
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寝子 - ええ、あ、続きは!? ずっと待ってるんですが (2月18日 21時) (レス) @page28 id: 57e090ea6a (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 続き待ってます (1月4日 10時) (レス) @page28 id: 964519cfd9 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (6月9日 0時) (レス) @page28 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 更新待ってます (5月25日 16時) (レス) id: 8ef7621f8b (このIDを非表示/違反報告)
わかめ - 続きが気になって仕方ないです!更新楽しみにしてます! (2022年9月20日 17時) (レス) id: 979aaf8679 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おふとん | 作成日時:2019年8月7日 1時