【ツイステ】彼が戻ってきた。 (ページ28)

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２８.King of Beasts Ⅵ ページ28

・レオナside

「穴…だと？」

呆然と、口からその言葉が出る。

急に寮長会議として呼ばれた7人の寮長に囲まれる形で立つクロウリーが、ただでさえ青白い顔面を青くした。

人通りの少ない廊下に、先日急に大きな穴が出来たという。

生徒は危ないから近づいては行けないと言い見せられた写真には、人1人簡単に飲み込めそうな程の真っ黒い穴が映っていた。

何故だか無性に、胸騒ぎがした。

クロウリー「この穴をクルーウェル先生と共に調べたところ、生贄を1人要求する魔法陣が穴の周りに描かれていました。

生贄を上げなければ、この学園は明日にでも穴に飲み込まれてしまいます。」

「だから、生贄を俺たちの中から選ぶと？」

俺の発言に、学園長は首を横に動かす。

数分間重苦しい空気が流れた後に、クロウリーがゆっくりと口を開いた。

クロウリー「…生贄は、部長も寮長も務めていないこの学園の生徒から選抜します。

そして、魔力が低いより高い方が穴が塞がる効果は高い。
よって、これは決定事項とします。」

シェーンハイト「…………ちょっと待ちなさいよ…。

そんな人…、1人しか…………ｯ」

クロウリー「………………。

A・ハッターくん。

彼が1番その条件に近い。

…………一番の、最有力候補かと…思っておいてください。」

A・ハッター？

俺の頭の中に、1人の赤毛の男が出てくる。

確か…確かにあいつの名前は…。

「……A・ハッターです…」

あの時しょぼくれながら口にした名前が、クロウリーの口にした名前と合致する。

自分でも驚く程に、頭の中が真っ白になった。

「…ちょっと待て。

生贄に選ばれたやつとは、もう会えなくなるのか…？」

やっとの思いで絞り出した声は、どこか頼りなく震えていた。

首を横に振れ。

頼む。

俺の願いは虚しく、クロウリーは恐らく…と呟き首を縦に振る。

気が付いたら、机を思い切り叩いていた。

「…んだよそれ！！

俺が、…ｯ俺があいつの代わりに生贄になる！

それならあいつは…あいつはこの学校で…」

クロウリー「駄目です」

「…んでだよ…」

足に力が入らなくて、その場にへたり込む。

クロウリー「貴方は第2王子(・・・・)なので、許可出来ません。」

その言葉が、俺を真っ黒に染める。

俺が…、俺がｯ

第2王子だから大切なやつを、

守れねぇっていうのかよ。