２３.The hyena past ページ23
ラギーside
最悪だ。
レオナさんと喧嘩したからお昼食うものがない…。
うんうんと考える間にも、腹の虫は休むことなく泣き続ける。
そんなところだけ正確に機能しないで良いんスけど…。
_｢あれ、ラギー先輩。｣
｢…監督生くん…｣
目の前に、焦げ茶色の短い髪に翠色の瞳の中性的な人間が立つ。
レオナさんの件で世話になったが、あまり興味はない。
ユウ｢珍しいですね。こんな時間に中庭にいるの。｣
｢…あんたには関係ないっスよ。｣
ユウ｢それもそうですね。｣
聞いてこない…。
いや、しつこく聞いてこられるのも面倒くさいけどすんなり認められるとそれもまたそれで腹立つっス…。
｢…なんで隣に座るんスか｣
ユウ｢今日、エースとデュースとグリムが補習でいないんですけど、そういう日はここで食べるんです。｣
そのまま隣で購買のパンを広げる監督生くんに、思わずため息を着いた。
なんか、読めないやつ。
ユウ｢はい、どうぞ。｣
｢…は？｣
目の前に差し出されたデラックスメンチカツサンドに、数回瞬きを繰り返す。
何考えてんスか、この人。
ユウ｢……本当は、ラギー先輩が1人で歩いてるのを見て急いで購買でパンを買ってきたんです。
今日、お昼ご飯ないんじゃないですか？｣
なんだよ。
……なんだよ、それ。
｢…なんスかソレ！！
ハイエナだからって哀れんでるつもりっスか！？
そんな偽善いらないっス！！余計なお世話っスよｯ！！｣
これで、もう関わってくることは無い。
どうせ嫌われるなら、早い方が良い。
偽善なんていらない。
偽善なんて………。
ユウ｢…うーん、困ったなー。
ラギー先輩がいらないとなると、私はこれを1人では食べられない。
そうなったらゴミ箱行きかなー。｣
｢は！？｣
勿体ない。
その欲でいっぱいになり、思わず声をだして監督生くんの方を向いてしまった。
ユウ｢はい、どうぞ。｣
｢ｯ！だからオレはっ…ｸﾞｰｰｰｰｰｰｷｭﾙﾙﾙﾙﾙ｣
ユウ｢1人で食べるの、寂しいんです。
良かったら一緒に食べてくださいよ。｣
偽善なんていらない。
そんな哀れまれたところで、現状は何も変わらないから。
でも、オレはパンを受け取り、それを口いっぱいに頬張ってしまった。
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作者名：いのさき。 | 作成日時：2020年10月4日 12時
