この恋はトランジット (桃) (ページ1)

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出逢ったのも一瞬。

付き合ったのも一瞬。

別れたのも一瞬、だった。

「のんちゃん」

望「ん？」

「別れよ、…」

望「…なんで？
なあっ、なんで？」

「柚ちゃんのこと、好きなんでしょ、
…気付いたの、私」

望「…ごめん。
ほんまにごめん。」

「いいよ…今までありがとう、じゃあね」

望「…おん、ごめんな
またな、」

出逢って一目惚れして、
即告白してしまった私にも落ち目はあるなと感じた。

名残惜しいけどラインのトークも連絡先も消去した。

元々、のんちゃんは私のことなんて
好きでもなかった。

偶然、柚ちゃんとのんちゃんを
お店の中で見かけたことがあった。

そのときに聞こえてしまった。

望「なんで俺、好きでもない女と
付き合ったんやろ…」

付き合ってるとき
私のこと、好きなんじゃないかって
勝手に自惚れていた。

でもそれは私の勘違いだったようだ。

柚ちゃんものんちゃんと出逢ったのは
私と同じくらいの時期。

会う回数、会う時間も変わらないはずなのに
のんちゃんは柚ちゃんを選んだ。

悔しくて悲しかった。

のんちゃんは
私のワガママに付き合ってくれただけなんだ。