この世にはいない。(S×J) (ページ6)

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-光-６ページ6

「お兄ちゃん！なにそれ、マジック？」

「え、マジック！？」

少年がひとこと。
潤は驚いて身を隠そうとする、流石に人間に魔法を使っているところを目撃されるとまずいと考えたからだ。

しかし少年は「もう一回やってよ！」というので

「う、うん。じゃあいくよ、ルーブ(変化)！」

潤は生えていた草をキャンディに変えた。

そして少年にどうぞと手渡す。
すると少年はぱあと明るい顔になって「ありがとう！」とよろこんだ。

すごい、魔法は人間を笑顔にするんだ…

今まで魔法なんて役に立たないと思っていたが、そうではないと知って潤は嬉しくなった。

それが、彼が「魔法使いの手品師」として街中で魔法を披露するきっかけになる。

潤の名はみるみる広まっていき、沢山の人が潤の元に集まった。

しかし、彼のことをよく思わない人もいた。
例えばマジシャン。

潤の「魔法」は嘘であるという事をどうにかして暴こうとし、有る事無い事を市民に拡散して回ったのだ。

「魔法使いの手品師は詐欺である」と。

さらにはメディア。

潤の嘘を報道し面白おかしく記事にする、いたたまれなくて逃げた潤はついに詐欺師として指名手配にまで持ち込まれてしまった。

憧れだったユートピアは一瞬にして地獄と化したのだ。