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drown052 ページ6

───


「俺、お前のこと許すつもりねぇよ」
「……えっ!?」



あの時のことを許してもらいたいなんて思っていないが、何となく許してもらえそうな雰囲気だった。と思っていた。そりゃまぁ、分かってたけど。



「けど、感謝はしてる。潔見て思ったんだ。何をあんなに…今まで怖がってたんだろうって、頭がぐちゃぐちゃになってた。あいつを見て熱くなってる俺の滾り、そんで、言われたこと思い出してさ」



「自分の気持ちを信じろって言ったろ」と、千切さんは落ちてきた前髪を払いながら言った。



「だから、まだ信じて見てもいいって思ったんだ。俺の気持ちと、俺のこの足を」



千切さんは笑う。
「だからありがとな」なんて言って私の肩を叩いた。



「けど、私は何もしてないですよ。それこそきっと、潔さんのおかげ」
「あぁ。確かにきっかけは潔だったよ。でも向坂、アンタの言葉のおかげもあるんだ。だから素直に感謝の言葉受け取ってろ」



な?と目を細めて優しく微笑むその表情は女神さながら。彼の背後にある照明のせいなのか、笑顔のせいなのかきゅっと目をすぼめる。

あぁこれはファンも増えるわけだ、とその笑顔を見て全て理解した。
サッカーも上手けりゃ足も早い、おまけにイケメンか。長いまつ毛、手入れを施した艶やかな赤髪、形の綺麗な血色のいい唇、汗をかいた姿は水も滴るいい男。顔のパーツも配置も完璧。


こんな人が学校にいてはミーハーは放っておくにも置けないだろう。納得したとか理解した、ではなく納得せざるを得ない彼に私は頷いていた。

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作者名:shiori | 作成日時:2024年1月20日 19時

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