青に溺れる 2【ブルーロック】 (ページ4)

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後半の試合、思うところはあった、沢山あった。

まさか久遠さんのハットトリックが裏切り行為だったとは思いもしなかった。今思えば試合前の嫌な予感はそのことを指していたのかもしれないし、ハーフタイムの鰐間兄弟の言葉はその事を言っていたのかもしれない。

許されない行為。それ以前に人間性を疑いたくなるような、そんなことをしていた。けど、今の私はそんなことと思えるレベルでどうでもよかった。

モニターを見上げる。相手のゴール前で拳を突き上げる一人の青年の姿が、目から離れない。

勝った。勝った、走って、決めて、勝った。

「少し、失礼します」
「え、ちょっとAちゃん！」

足が勝手に動き出した。

アンリさんの静止する声を無視して長い廊下を駆け抜ける。転けそうになって体勢を持ち直し、五角形の青い監獄のマークが入ったスリッパを1足ずつ片手に持って走る、走る、走る。

最後の角。曲がった先に光が見えた。

小さな階段を登ってコートに抜ければ、人工の芝が足の裏をゾワゾワと刺激する。まず目の前に飛び込んできたのが頭を抱えて蹲る久遠さんを踏みつけるチームWのメンバーと、それを止めようとする國神さん潔さんだった。
私はハッとしてポケットに手を突っ込む。

ビーー！！！

ポケットに忍ばせていた電子ホイッスルを鳴らすと、頭を抱える久遠さんを踏んでいた足が止まってこちらを向いた。

「試合は終了しました、速やかにお帰りください」

久遠さんの元へと駆け寄りながらそう言えば、チームWは彼から離れていく。両手に持ったスリッパを置きながら膝を付き、背中に手を当てた。

「久遠さん、念の為医務室に───」
「っ！！」

背中に乗せた手を払いのけ、足早にコートを去っていった。