drown071 ページ25
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Aが部屋を出た後、扉の閉まる音を聞いてこれでもかと大きなため息を吐き出した。
正直なところ、彼女の性格が大きな誤算だった。
クズだとか、野蛮だとか、生意気だとか。
実は短所なとこばかりの性格がありました〜、と言う訳では無い。むしろこちらが期待している以上の働きっぷりに関心をするし、マジでタダ働きさせて良かったのかなと、彼女から提案されたことと言えど心配になってしまうほど。
サッカーに対する情熱も、力になろうという熱意も、言葉も全てが本物で、日本が世界一になる姿を夢に見ている。あの時、初めて会った時、きっといい風を運んできてくれるかもしれないと悟った。
まぁ困ったことといえば。
ぺら、と手元のAの写真を見下ろす。
一般的に見て、彼女を知らなくとも写真を見せれば可愛いと言われるであろう幼さの残る顔立ち。きっと同年代の多感な男子は放っておかないはずだ。
加えてあのパーソナルスペースの狭さと裏のない純粋な言葉。顔も良ければ一人一人をしっかり見て、相手をその気にさせるのがなかなかに上手い。勘違いが起きてしまってもしょうがない、と言えないこともないだろう。
そのせいなのだろうか。
ここにいるのは選手からAから全員がサッカー馬鹿だから間違いは起こらないだろうが、若干名プロジェクト始動時とは明らかに様子が違う。
Aちゃん、正直めちゃくちゃ助かってんだよな。何かあって今このタイミングで離れられては非常に困る。
さてどうしたものかと頭を抱えてまた一段と大きなため息をつけば、「お疲れ様でーす！」とどこか上機嫌な帝襟の声が響いた。
「絵心さん、Aちゃんの親みたいになってきましたね」
「……聞いてたの。こちらとしても責任を負う義務があるって言ったじゃん」
「あ！分かったツンデレですか！」
「アンリちゃんシャラップ」
「はーい」
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作者名：shiori | 作成日時：2024年1月20日 19時
