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手を合わせる隣で「よく言われるんだ」と言う蜂楽さんに私は頷いた。
いわゆる自分の顔は童顔と言うやつなんだろうと思う。顔の成り立ちくらいは鏡で見てる分自覚はあるし、写真を見た時なんかやはり同級生に比べて幼く見えがちだ。そもそも日本人、と言うか東洋系は体型や主に骨格もあって幼く見える、というのはまぁ海外の人が我々を見た時の話。
最近やっと、少しは年齢に追いついたとは思っているけど。何歳くらいに見えるのかな。
ちらりと向かいと横の2人の顔を見る。こうして見ると目も大きく、笑った顔は愛嬌もあるもの。
「……あの、なんか顔についてる?」
「えっ、あ、と、いえ」
「??」
どこか気が落ち着いていない潔さんにそう聞かれ、喉元まで出かかった「2人も可愛い顔してる」なんて言葉の代わりにそろそろ戻ろうかと、と言った。
可愛いを売りにしていないアイドルや俳優、タレントでもない男子に可愛いはご法度なことはさすがに知っている。
思ったこと口に出す癖、意識しない限り治んないんだよな。大変。これで痛い目を何度見た事か。ぼんやりとした赤い影がものすごいスピードで脳裏を過ぎった。
「そだね、俺らも戻ろっか」
「おう。ごめんな邪魔して」
申し訳なさそうな潔さんに首を横に振る。
「いえ、私もおふたりとお話出来て楽しかったです」
「えぇ?嬉しいこと言ってくれんじゃん♪」
そう言うと彼は愛嬌のある笑顔をうかべる。
皿を運び終えてふたりとはそこで別れた。
一旦部屋に戻ろうかと食堂を出ようとしたところで「向坂さん!」と背中に声がかけられ、その声に振り返った。
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作者名:shiori | 作成日時:2024年1月20日 19時