drown065 ページ19
───
てかアンリさん今の業務だけでも大変そうなのに、絵心さんは加えてそれらもさせようとしていたということ？
｢絵心さんってアンリさん労わってます？」
「Aちゃんここ来てだいぶ変わったよね。うん、悪くない」
「何目線ですか」
「あ〜……。まぁ、変わったと言うより素が出てきた？」
そう言われてまた目線を逸らした。
ため息を飲み込んで、頭の中に残した別棟の生き残りの選手たちの顔を思い浮かべる。
別棟に気になる選手結構いるんだよなぁ。
まずはやっぱり糸師凛。実力で言えばこの監獄一と言っても過言では無い。時光青志の生まれ持った素晴らしいフィジカル、そしてあの筋肉は一度この手で触らせていただきたい。烏旅人のあの高い分析力も素晴らしいものだ、話を聞いてみたいとは常々思っていたし。
「……Aちゃん」
「ふふ」
「コラAちゃん」
「あっ、はい」
思わず(緩んでいたであろう)口元を押さえて返事をした。
「次から初めましての選手がいるから上手いことやってね」
「上手いことですか？」
そう聞き返すと返事の代わりに焼きそばをすする。じっくりと咀嚼して、焼きそばを通っていった喉から声を発した。
「俺と君も、選手と君も、あくまでもビジネスだ。言いたいこと、分かるよね？」
「……そういうことでしたら」
賃金の発生しない私と絵心さんの関係がビジネスというかはさて置いて。ここは学校じゃない、世界一に導くストライカーを育成するための施設だ。なかよしこよしの友達ごっこをするようなら
───と、いうことが言いたいんだろうと思う。
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作者名：shiori | 作成日時：2024年1月20日 19時
