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drown062 ページ16

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前半を3対2とチームVの1点リードで終えた最終戦はハーフタイムを挟んで後半の開始を告げるホイッスルが鳴った。喜びとやる気に満ちたチームZと、そんな彼らと対照的に背後に迫り来る初めての敗北に焦燥感を隠せないチームV。

急いでロッカールームを後にして、試合を見るべく全速力で2人の元へと急いだ。


ここで、全てが決まる。

誰が消えようが生き残ろうが、どっちが勝とうが負けようが、約束を果たそうが果たせまいが、そんなちっぽけなことはどうでもよかった。今、モニター越しに繰り広げられるゲームにただただ夢中になって、吸い込まれて、熱くなる。



「これで満足してちゃ体持たないよ」



モニター越しに見るこの景色は実際のコートの半分行かな熱量でしかないと思うと、ここからでしか試合を見れないのがとても惜しい。



「……はい」



気持ちを落ち着かせるように返事をする。
今朝の頭痛は何処へ行ったのやら。

目の前の熱狂に視線も、心も、体も、全てが奪われる。
背中を駆け上がるような高揚感と、刺激的な光と、手に汗握る緊張感。



「さぁ、試合終了まであと30分だ」



トップスピードで駆け抜けた赤色が華やかに、残酷に、シュートを決める。カウントが2から3へと変わった。真っ暗闇のコートを照らすフラッドライトに弾けた汗が反射する。

眩しい。思わず目を細めた。
ずっと、これが見たかったのかもしれない。



「世界一のストライカーになるのは、この青い熱狂を支配する人間だ」



そんな青い熱狂が、1ミリたりともここから離れることを許してはくれなかった。

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作者名:shiori | 作成日時:2024年1月20日 19時

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