drown061 ページ15
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どこか小馬鹿にしたように肩を竦めて鼻で笑う。
私はそれに「へぇ」と短く相槌を打った。
「……ストライカーとは何か、エゴイズムとは何か。この棟でそれを1番体現しているのはあなた方の対戦相手かもしれませんね」
「……俺らが負けると思ってんの？」
「いいえ。彼らはチームV、特に御影さんの大切な宝物にとってはバグ要素になりうる可能性があるだけの話です」
「ゲームの分岐選択、大切ですよ」と言えば納得しきれないように顔を顰めた。
「でも、そんなふうに自信たっぷりな御影さん素敵だと思いましたよ」
「─────は？」
「ネガティブでは本領を発揮出来なかったり、ありますからね」
「おまえっ、いや。……はぁ」
片手で顔を覆いながら、腰に手を当ててため息をついた。
俯きがちな顔を上げて指の隙間からこちらの様子を伺う彼と目が合って、首を傾けた。
「他の奴にもそんな調子なのか？向坂って」
「えっ、まぁ、多分…？」
「俺も大概単純すぎかぁ……」
呟いたその言葉にもう一度首を傾げた。御影さんは目元まで覆っていた手を下げて顎に手を当てると、何かが切れたように吹き出して笑う。
彼は1歩こちらへと近づいて人差し指を立てた。
「試合勝ったら俺の事を名前で呼ぶ」
「どうだ？」と片側の口角を釣り上げた。
そういえば前にも名前で呼んでくれないかと言われたが、確か断っていたんだっけ。チームメイトも御影さんのことを名前で呼んでいるし、名前で呼ばせているのか、単純に凪さんの呼び方に影響されたのか。
「─────分かりました、勝ったらですよ」
そうやって言えば、彼は白い歯を見せて笑った。
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作者名：shiori | 作成日時：2024年1月20日 19時
