誓い gr ページ45
gr side
コンコンと、控えめなノック。次いで、愛しい女の声。
『グルッペン、Aだ』
｢入っていいゾ｣
書類に埋もれたまま顔をあげずに告げ、ギィィ…と扉が開く。目の下に薄らとある隈を見たんだろう、寝てないのかと聞かれたが、この程度はどうってことは無い。仮眠もちゃんと取ってるし。
『言ってくれれば手伝うのに』
そう言いながら、山積みになった書類へと手を伸ばすA。此処に来て間もない故、無理をさせたくはないという思いだったのだが、伝わっていなかったらしい。
(お前は優しすぎる)
愚痴も言わず、ただただ無言で。
静寂に支配された空間の中には、微かに紙をめくる音だけが響いた。
＊ ＊ ＊
｢俺は頑張った...少し休憩させろ...｣
『お疲れ様。結構やったな』
伸びをしながら立ち上がり、換気のためか窓を開ける姿。濁った空気が回りだし、若干の涼しさが訪れる。
『...』
紺青色の疎らな髪が、そよ風に靡いている。
後ろに立ち同じ景色を眺めていると、ふわりと風が舞った。
(っ.....)
無意識に、手が伸びる。
そんなことは無いと、分かっているのに。
『...グルッペン』
──名を、呼ばれる。
優しい声で。女にしては低めの、柔らかな声で。
｢A｣
『どうした』
ぽつり。
とろりと蜜が、心の底から溢れ出る。
(ああ、A。どうか、)
──どうか、消えないでくれ。
不意に、風に攫われたAが。
目の前で、いなくなってしまう気がして。
らしくないと分かっていても、怖くなった。
抱き締める力を強めれば、頭に感じる手の重み。
撫で付けるようなそれが擽ったくて、嬉しくて。
『よく頑張ってる』と、褒められて。
ああ、また。蜜が溢れ出す。
｢くすぐったいゾ｣
『嫌なら頭上げろ』
｢...それは嫌だ｣
『わがままな奴』
2人だけの世界に、2人だけの呼吸音。
とくとくと伝わる心音が、酷く安心する。
溢れた蜜が染み渡り、ひとつの感情が、胸を支配する。
──ああ、好きだ。
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眠る猫 - 私は本当の事を言っただけですよ！！本当に面白くて、更新されてたら真っ先に見に行きますもん！ (2020年6月4日 16時) (
レス) id: f146e9ce83 (このIDを非表示/違反報告)
ととちゃ。(プロフ) - いやいやいや褒めすぎっすよ！思わず顔がにやけましたわありがとうございますっ (2020年6月3日 19時) (レス) id: 077d8e943d (このIDを非表示/違反報告)
眠る猫 - ととちゃ。さん» ちゃんとオリジナルフラグ、外れた様ですね！よかったです！！…にしてもこの作品、面白すぎるでしょ！？天才ですか！？もう、好きです！（は？） (2020年6月3日 18時) (レス) id: f146e9ce83 (このIDを非表示/違反報告)
ととちゃ。(プロフ) - 眠る猫さん、アドバイスありがとうございます！そう言って頂けるとものすごく嬉しいです！無理せず自分のペースで頑張りたいと思います！ (2020年6月2日 16時) (レス) id: 077d8e943d (このIDを非表示/違反報告)
眠る猫 - あと、この作品をとても楽しみにしながら待っていますので、無理しない程度に更新を頑張って下さいね！ (2020年6月1日 21時) (レス) id: f146e9ce83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Toki | 作成日時：2020年5月23日 16時
