策士な彼の愛は重い【そらる】

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キスの隙間を縫って必死に息を吸いこむ私なんてお構いなしに激しいキスを繰り返す。


苦しさと気持ちよさに耐えているとお腹にひやりと冷たいものが触れて、するする動くからそれがそらるの手だと認識した。


着ていたパーカーは首元からすぽんと抜ける。


はぁっ、


私と同じくらい、いや私より白い手が肩から二の腕を撫でて長い指がブラ紐と肌の隙間に入り込む。

すき、だなぁ


首元を通って鎖骨、肩へと順番にこれでもかと優しい口付けをした後私の背中はふかふかのベッドへと落ちていく。



白い天井と、熱を含んだ瞳、潤んだ唇


“ やっぱダメだろ、酔ってる相手にこれは “


はぁーと溜息をついてぼすんと私の横に倒れ込むそらる。

その後聞こえるのは規則正しい寝息。



頭の中に流れた映像はきっと過去のもの。


だって目の前にはそらるがいるし、これから私を食べちゃいそうな勢いだもん。


じゃあこれはいつのもの？

こんな状況あの日しかありえないじゃん。


目元が熱くなってくる、私の記憶は正しい？



「そらる、」



もしかして私たちさ



「あの日、なにもなかった？」





「うん」



その返事は聞きたくなかった



「嘘ついたの？」


「違う、これには理由があって」



だから嘘はついてないって？

なにそれ、あんな状況見れば誰だって

なんのために、

だって私は寝たと思って、


ちょっとまって、状況が理解できない

今までのはなんだったの



「戸惑う私を見て楽しかった？馬鹿みたいに悩む私が面白かった？」


「ちがっ、A！」



ぼろぼろ溢れる涙を拭う時間さえ惜しかった。

ドンとそらるの肩を押してその場から逃げ出す。


悲しくて、悲しくて、天国から一気に地獄に落とされた気分。






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