策士な彼の愛は重い【そらる】

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「お前ら距離近い離れろ」


「なになにそらるさん嫉妬？」


「はぁ？」



そらるはなるせのおでこに1発デコピンをくらわせてまた私の隣に腰を下ろす。

私はというと、突然身体が固くなってそらるがいる方に意識が集中してる。


無理だ、私めちゃくちゃ意識しちゃう。



「A？どうした？」



顔を覗き込まれて至近距離にそらるの顔。

慌てて顔を逸らすとガシャンと烏龍茶のグラスが床に落ちた。



「わ、すみません」


「ちょっと危ない」



グラスを拾おうとした右手はそらるに掴まれてまた「怪我は？」と顔をのぞき込む。

無理だ、本当。

動揺を隠せない自分が恥ずかしいのと、そらるに掴まれた手と、近付いた顔に

ぐわっと顔が熱くなるのが分かる。



「えっ、」



やばい、絶対気付かれた。

驚いた顔で声を漏らしたそらるを見て確信する。


私の好意は多分今、気付かれた。



「と、いれ」



立ち上がった私をぼーっと見つめるそらるの横を通り抜けトイレに駆け込んだ。


鏡の中の私の顔はやっぱり真っ赤に染っていたから、もうダメだ。

私はなにをやってんの。

アラサーが馬鹿みたい、こんなウブじゃないでしょう


今まで結婚願望というのが優先だったから恋心を忘れてたのかもしれない。


リップを塗り直して席へ戻るとふたりは帰る支度をしてて



「え、帰るの？」


「うんそらるさんが送ってくれるって」


「え大丈夫だよひとりで帰れる」


「いいから」



そらるに手を引かれて店を出る。
いつの間にかお会計も済ませているし、なるせは私にウインクしてから逆方向へ歩いていったから困惑しかない。





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