策士な彼の愛は重い【そらる】

15. ページ15

.




涙で視界がぼやけてるおかげで見つめてても目が合ってる気がしない。

だからそのままじーっとそらるを見つめた。



「…キスする？」



は？今なんて言った？

驚いて瞬きをすると涙が頬を伝って視界もクリアになった。


熱を帯びた瞳が私だけを見てる。
じわりと熱を持つ身体。


慌てて視線を逸らしてグッとそらるから離れる。

意味が、分からないけど。


カーペットの模様を目で追うように視線をキョロキョロさせているとそらるが視界に飛び込んできた。



「ちょ、」


「キス、する？」



カチカチと時間を刻む秒針の音がやけに大きく聞こえて、その2倍くらいの速さで動く心臓。


うんともすんとも言えない私の耳を親指で撫でて「いいの？」と呟いた。


良くない、ダメ。


頭ではそう思ってても口には出てこない。

息を短く吸い込んで下唇を噛んだ私を見てそらるは目を細めた。

ゆっくり瞬きをして開けた時には目の前にそらるの顔があった。


掬い上げるように私の唇に触れてさっき吸い込んだ息が鼻を通って外に出る。


角度を変えて何度も、私の唇を可愛がるみたいにキスする。


拒めない、拒まないといけないのに。

もう私を困らせないでよ、惑わせないでよ



「ふっ、…」



深くなるキスに苦しくなって私の頬を包むそらるの袖口を掴む。

もう、くるし


弱ってたはこのまま流される理由になるかな。

ぼーっとする頭でそんなことを考えてる。


頬にあった手がだんだんと下に移動して私の服に手をかける。



「そ、らる…まっ」



力が抜けて後ろに倒れ込んだ私を逃がさないというようにそのまま腰を抱いた。

もう、このまま







.

16.→←14.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す