策士な彼の愛は重い【そらる】

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見上げてたそらるの顔がぐんと近付いたと思ったら一瞬でぼやける視界。


唇に柔らかい感触、

首元に添えられたそらるの手。


私の身体は氷のように固まって動かない。

ぱくりと食べられるようにされた口付けは離れ難いというように下唇を挟んでからゆっくり離れる。


なんなの、これ。

これはキスだよね。

そらる酔ってる？
絶対酔ってる、酔ってなきゃこんなことしない


さっきみたいにそらるを見上げることは出来ずに地面だけを見つめる。

私の頭にぽんと手が置かれ



「今日のことは忘れないでね、おやすみ」



と呟いて帰って行った。



「はっ、」



どうかしてる、そらるも私も

一気に力が抜けてその場にずるずるしゃがみこむ。


今の状況が全く分からない。


なかったことにするつもりないって

キスして、

忘れないでね？


もうなにこれ

もはやミステリー。


頭をぐしゃぐしゃと掻き回しながら考えても答えは出ない、むしろ余計にこんがらがる。



「…もう知らない」



エレベーターを使わずに階段で4階まで上ってすぐにシャワーを浴びた。

とびきり冷たいやつ。


頭は覚めていくのに体の熱は全然冷めてくれなくてまるで私の気持ちを表してるかのようだった。


これからどうしたらいいの？

今日のこともなかったことにしたらいいのかな

でも、今日のことは覚えてる


私たちの関係はこれからどうなるの？







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