色のない世界で、君と 2【めいちゃん】

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「そろそろ帰るか」


3人で話すのはやっぱり楽しくて時間が経つのが早い。

最後まで腰に手は回ったままだったけど、最終的にはなるせも気にしてなかった。

お会計はふたりがしてくれてなんだか申し訳なかった。


なるせは「またな」と素っ気なく手を振って反対方向へ歩いていく。



「行こ」



腰に回っていた手はいつの間にか左手に移動していてそのまま手を繋いで歩く。



「そういえば次のワンマン来るでしょ？」


「もちろん」


「んふふ、嬉しい」



かわいい。
めいちゃんがニコニコ笑うだけで私の心臓はぎゅっと掴まれる。

しかもこれが毎回だから困る。
いつ慣れるんだろう。



「あー、もう着いちゃうよ。ゆっくり歩こう」


「そうだね」



私だってまだ一緒にいたい。
離れたくない。

そんな想いが伝わればいいと思って握っている手に力を込めた。


ゆっくり歩いたのにこんなにすぐ着いてしまう。

めいちゃんと歩いた道が一瞬だったかのように感じる。

どうしよう、まだ一緒にいたい。



「じゃあ、また連絡する」


「…うん」



左手を拘束する力が弱くなってするりと手が離れそうになった時、私はその手を握り直した。



「A？」



今日くらい大胆になってもいいだろうか。

たまにはわがまま言ってもいいだろうか。



「まだ一緒にいたい」



くん、と繋がった手を引っ張ってめいちゃんを見つめる。



「それは……そういうこと？」



どういうこと？

ぴたりと近付いた距離。
いつの間にか左手にあった手は背中に回っていて

私は温かい胸元からめいちゃんを見上げる。

そこには、欲を含んだ瞳でじっと私を見つめるめいちゃんがいた。



「言ったよね、俺我慢強くないって」






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