【短編集】氷上の王子と私 3【羽生結弦】 (ページ6)

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Side.Yuzuru

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え、え？
今の何！？

一瞬思考回路が停止しつつまた稼働していく
もう1度同じ強さで同じ場所を押すと似たような声が漏れて慌てた

『ご、ごめん、痛い？』

｢ううん、気持ちいい…｣

｢そっ、か、じゃあ腰の方もやるね｣

こんな声聞いてたら頭がショートする
マッサージする場所を変えて落ち着こう

｢ぁっ、うぅ…｣

『…』

ねえわざと？
わざとじゃないなら僕だいぶ半殺しなんだけど…

僕は何も言えないままマッサージを続けていく
色々落ち着きたくて頭の中でトリプルアクセルを飛んでみるけど聴覚がAの声に乱されて変になっていく

｢ぁぅ…ゆ、づっ｣

『…ねぇA』

｢ん？なに？｣

マッサージの手を止めればいつものAだ
でももう僕の思考はAの甘ったるい声により止まりつつある

いっそこのまま。

『…気付いてる？』

｢ん、ぁっ…｣

わざと強めに押せばそれに比例してAの声も甘くなる
もうそろそろ僕も限界です…

『その声さ、誘ってんの？』

｢ちが…ぃっ｣

『無意識でそれはキツイよ…』

｢ゃ、ぁっ…｣

僕が言いたいことに気付いたのか、Aの頬は赤く染まる
痛みと恥ずかしさで息が上がっているAがなんとも艶かしい

『俺もう、我慢出来ない』

｢ゆづ、る…っ｣

いつも冷静で居られる僕が

愛おしい人に本能を掻き立てられて俺になる瞬間だった