【短編集】氷上の王子と私【羽生結弦】 (ページ8)

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内心すごくドキドキしてた
だって、もうその時の私は結弦が好きだったから
でも呼ばれる理由はよく分からなくてゆっくりゆっくり結弦のところに向かった

結弦はマイクを持ってて
会場中が私と結弦に注目してた
下手したら全世界？(笑)

私が結弦のところに来ると、急に結弦が片膝をついて私の手を取ったの
まあ会場にいた女子は叫ぶわカメラの音はすごいわでまだ何も起きてないのにパニック(笑)

マイクごしに結弦が咳払いをするとまた会場が静かになっていく
そして結弦ははっきりと、カナダのスケートリンクで、全世界の人達の前で、そして日本語で

『A、僕と、付き合ってください』

全身が震えた
結弦が私に告白したっていう事実がなかなか飲み込めなくて
でも結弦が少し照れながらも真っ直ぐに私を見つめるから

私はしっかり、｢はい｣と答えたんだ

さっき私の名前を呼んだアナウンスの人が今の状況を英語で説明し始める
結弦が話を通したんだな、と思うとこの人は本当にすごいなと思った
全て説明が終わるとまた会場は悲鳴に包まれる
でも悲観的な悲鳴はなく、むしろ暖かい拍手がたくさん聞こえたの

ファンにズタボロにされないかな、なんて思ったのはだいぶあとだったけど(笑)

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この写真はその時に撮ってもらったものだ
今の幸せはこの時から始まったの

『懐かしい写真見てるじゃん』

｢わ！？｣

不意に頭から声がしたかと思うと結弦が帰ってきていた
どうやら練習は終わったみたい

｢お疲れ様！｣

『ありがと、そんなことよりなんでそんなの見てるの？僕がいなくて寂しすぎた？(笑)』

｢暇すぎてついね｣

『なーんだ』

あからさまに肩を落とす結弦
そんなところが年上に見えないのよ…

『Aは幸せ？』

｢へ？｣

『僕に告白されて、付き合って、幸せ？』

少し自信なさげな結弦は珍しい
そんなの答えは一つだけ

｢すっごく幸せだよ！｣

そのあと、結弦がそっと甘い口付けをくれたのは秘密ね