#3 狙われた家族 ページ6
side:A
「ただいま…」
頭の中がグチャグチャのまま、ファーストフード店の深夜バイトから帰ってきた私。
私はコンビニ弁当を電子レンジにかけている間に、キッチンの隣の部屋へいく。
隣の部屋は子供部屋だ。私の妹と、弟が眠っている。あとペットのハムスター、ハム太郎も。
私は子供部屋のドアに耳を当てて、中のようすをうかがう。
しん……。なにも聞こえない。流石にもう寝てるか、と私は疲労感でその場に崩れた。
「……ん？」
気のせいだろうか。
異様な臭いがするような。
なんか、鉄が錆びたような鼻にくっつく臭いがそこら中を漂っている。
怪しい。嫌な予感が頭をよぎって、私は扉を開けて、部屋のなかへ踏み込んだ。
「ッ！くさっ！」
凄い激臭。あまりの臭さに私はフラフラよろめいた。
ぐらっと体勢を崩し、その場に座り込む。
なぜか、床の感触がおかしかった。ぐにっとしている。
恐る恐る下を見ると……
「ギャーッ！」
私の下にいたのは、弟のかなとだった。
「かなと！今、退ける(どける)からね。大丈夫？」
私はかなとに声をかけるが返答がない。
この暗がりの部屋のせいか、私は恐怖で震えた。必死にかなとへ腕を伸ばす。
「か、なと？」
私はそっとかなとを揺さぶる。が、かなとは冷たくなっていた。
「うそ？！かなと、どうしたの！」
私の瞳から涙が溢れだす。かなとの口元に耳を近づけるが、息をしていない……。
「うぁーーっ！かなとぉ……」
かなとは首から沢山の血がでていた。私は声を張り上げて泣き叫ぶ。
あぁ、神様。私の弟がそちらの世界へ向かいます。
元気で優しく、純粋な弟です。
姉としてやるべきことはやりました。
あとは頼みます。
私は天へ泣きながらお祈りした。
そしてーー。
「らん……」
妹のらんは生きていた。部屋の奥から真っ直ぐにこちらへ歩いてくる。
「お姉ちゃんっ。かなとが……」
らんは、私の胸に飛び込んでくる。
私はらんの頭を優しく撫でた。
「わかってる、わかってるんだよ。かなとお兄ちゃんは天国に行っちゃったんでしょ？」
らんは私にそう問いかける。
私は返答に困ったが、らんに話を聞くことにした。
「らん。見たこと、聞いたこと、体験したこと。詳しく教えてくれる？」
らんはコクりと頷いて、口をゆっくりと開いた。
「あのね、、、」
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作者名：美矩@aile//:Reader@ | 作成日時：2019年10月19日 17時
