★欲張りさんと言われましても ページ6
「見舞いに何持っていけばいいか、分からなかったから」
左馬刻さんはそう言うけど、これはなかなか手に入らないだろう。
僕の家にいた職人さんでも難しい。
いや、今は技術の進歩で簡単に作れてしまうんだろうか?
「悪かったな」
もう一度しっかり頭を下げた左馬刻さん
その様子を見ていると、自然と手が出て、左馬刻さんの額に触れていた。
「大丈夫ですよ。顔、あげてください」
でも、半分お揃いの綺麗な赤の瞳が映ると魔法が解けたみたいに怖くなった。
今確かに普通に接することができたのに。
「あぁ、ありがとな」
左馬刻さんは気を害した様子もなく口の端をキュッと引き上げる。
そして少し考え込んだあと、名札のようなものを2枚、僕と遥に投げて寄こした。
「あぁ、名刺だね。以外だ、こちらにも寄越してくれるなんて」
名刺、僕らの世界にもあったのだろうか?数百年ひきこもっていたから知らないけど。
遥は物知りだなぁ
「いやね、さっき赤髪の彼」
「あの、観音坂独歩といいます……さっきから名前呼ばれないと思ってたらやっぱり俺の…… 」
「んん!観音坂さんにも名刺を貰ったんだよ」
その名刺には青棺 左馬刻の文字と数字?が書いてある。
なにか意味があるのだろうか?
「俺の電話番号、何かあったらかけてこい。お前はついでだダボ」
でんわばんごう。
知らない言葉に遥を見ると、遥はにっこりと微笑んだ。
良かった、知ってるみたいだ。
「時に独歩くん、でんわばんごうって、何だい?」
「え、遥、聞いちゃっても大丈夫なの……?」
異世界から来ましたー!なんてエピソードをわざわざ言わなくてもいいのに。
「ある程度の情報は渡しておくと切り札となりうるからね。賭け事と同じさ」
よく分かりはしなかったけど。
それから電話というものを教えて貰って、左馬刻さんからスマートフォンという箱を貰って、先生と左馬刻さんと観音坂さんと番号を交換した。
「こちらではなかなか便利だねぇ?」
僕の画面を覗き込んだ遥は感心したように呟く。
遥はスマホを諦めたらしい。
「困ったことがあればすぐに連絡するように」
先生からそう言葉をいただき、コクリと頷いた。
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作者名:なかさ | 作成日時:2020年1月16日 2時